■ミパーナ2話■


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 前編が終わったところで、私──岩神勇緋のプレイヤーは1つの懸念を抱えていた。
 それは、今回の事件が(各々が背負った宿命はさておき感覚的には)降って湧いたようなものであり、最終的に見据えるものが皆バラバラである、ということ。
 第一部と違い、(前キャンペーンから引き続き参戦の音音はともかく)ある意味自分のあずかり知らぬところで起きた事件に対して、PC達のモチベーションが未だ低いのではないか?
 当初からの予定だったとはいえ因果関係が複雑化した第二部において、果たして残り1話だけでPCが抱える問題の解決と物語の収束を収める事が出来るだろうか?
 このままでは第二部が、単なる第一部の後始末的な、一種の消化試合となってしまうのではないか……? そんな懸念を、私は携帯のメールでGMに送ってみた。
 その問いに対し、GMは──
「あんまり自信ない(笑)。でも長くなるから中篇とかやりたくないんだよー」
──多忙が予想される中、間を置かずに回答してくれた。
 大変簡潔であった。

 良いものを作りたいという気持ちは同じならば、私が中篇を担当して解決できる部分を解決させるので、クライマックスともいえる最終話──完結編にのみ力を注いではどうかと提案した。
 GMは、私の突然な提案を快諾してくれた。
 自分もPCをやれる! というのが魅力的だったらしい。

 最終話収録時には第一部でジャック・ローズを担当した男が参加することになっていたので、その参入も念頭に置いた。
 送られてきたキャラの設定を活かしつつ、シナリオの背景、方向性を統一するためGMとディスカッションをし──

 ──そして、リプレイ収録日がやってきた。

■プリプレイ

 勇緋(以下GM):えーさてと皆さん。小便は済んだか? 神様にお祈りは?(笑)
 奥村:あぁダイスの神様っ、今日のダイス目が良くなりますように〜。
 宗士郎:ササヤキ、エイショウ、イノリネンジロ……!

 どうかプリプレイ段階から灰になって、うっかりロストしないで頂きたい。
 GM:先ほど申し上げました通り、本日はまず岩神勇緋のプレイヤーである私が中篇の臨時GMを勤めさせて頂き、第一部から再参戦のプレイヤー・鋼を加え、メインGMにもプレイヤー・奥村として参加して頂きます。
 鋼:(自分のキャラクターシートを確認して)……すげえ! 俺、CF修正が4もある? ありえない……いつもは1とか2なのに(笑)。
 GM:(苦笑)……んでは早速、お約束に従って今回予告からいきまーす。内容に沿ってないかもしれないけど、まあイメージとして。では、行きます──

 〜 今回予告 〜

 「花に見惚れる者は、その懐に気を付けるがいい──」
 桜の蕾が綻ぶ季節。
 人々の笑顔がこぼれる中、春の足音に紛れ忍び寄る、災いの足音。
 心無き者が自らの欲望を満たすため、小さな幸せを摘み取らんとする。
 世界全体からみればそれは些細な出来事。
 『第三者』の誰の目にも留まりはしない。
 ──しかし。
 誰が『彼ら』を第三者であると決めただろう?
 その当事者の世界に差した、小さなはずの影が、やがて世界を覆い尽くさんばかりの闇へと変わるなどと………。
 いったい誰が予測し得ただろう?

セブン=フォートレスX3
inナイトウィザード
パックス・ミパミパーナ
  〜連理の枝〜 中編

 『春来たりなば、蟲の目覚め遠からじ』
 「──気付かぬうちに、大事なものは奪われている」

 奥村:……なんかすげー真面目な今回予告だなオイ(笑)。
 鋼:(感心したように)ちゃんと作ってきたんだよ。
 GM:や、リプレイを失墜させないようなシナリオは作ってきたけど、今回予告は漠然としたイメージを待ち時間の間に即興で組み立てたのだ。

 既に春が来ているのに「春の足音」とか言ってます。
 加えて。春が来たのなら遠からず目覚めるどころか蟲は既に「蠢いて」います。

 GM:そんなわけなんでイマイチ今回予告になってないかも。まあ気にしないで(苦笑)。
 奥村:はー、こんな文才があったんですねー。君に文才があったなんて……コロシテヤリタイワ。
 宗士郎:才能がある奴はみんな殺したいのかアンタ(笑)。
 奥村:(突如激昂して)才能ある? コイツに才能ある? そんなこと……欠片も思ったこと無いですわアタシ!
 宗士郎:じゃあ何で殺したいんだ?(笑)
 奥村:わ、ワカリマセン(笑)。
 音音:(学級委員のような冷静さで)……早く始めてください。
 GM:はい(苦笑)。ではハンドアウトを読みます。鋼がPC@。……A、Bが緋桜君と音音。 奥村はPCCということで。(鋼に)……なんて名前?
 鋼:(いきなりモノローグ調)……私の名前は、ジン・ファンデル──
 宗士郎:フィン・ファンネル?(笑)
 鋼(以下ジン):ジン・ファンデル! 葡萄の品種からとったんだよ。
 奥村:「行けっ、ジン・ファンデル!」(笑)。
 音音:「行きなさい、ファンデル達!」(笑)。

 うわなんか沢山いる(笑)。
 恐らく同種の技「ゴローサンアタック」に優るとも劣らないだろう。

 GM:えー、ではジン。君のハンドアウトはメインGM宛に君が送ったキャラ設定を尊重する形で、けっこーしっかりと作らせてもらいました。
 ジン:ありがたい(笑)。
 奥村:不公平だぞー!
 GM:……しかし今回はスポット参戦なのに、今後のシナリオ展開に影響を及ぼしかねない事件が織り込まれ済みのキャラ設定作ってくるなんてびっくりしました……私も彼も、はてどうしたものかと大弱り。
 奥村:(笑)。
 ジン:あっはっはっ、面目ない(笑)。
 ジャック然り、彼が時間をかけて作成したPCは大抵こんな感じ。
 みんな笑ってるけど素人にはお勧めできません。
 GM:ともあれ折角の設定を殺すのも気の毒なので、この設定はGM的に都合よく解釈させて頂くことで「生かし」にしました(苦笑)。で、改めて君のシナリオコネクションは「同僚」ということにさせてもらうのだが、何か希望する名前はある? 葡萄つながりとか。
 ジン:んー。じゃあ、フォーク……フォーク・ザ・レインボースケルトンで(一同爆笑)。
 奥村:すげー名前だな(笑)。
 宗士郎:つーか人の名前じゃねーじゃん(笑)。
 ジン:だって目の前に「スケルトンカラーフォーク」ってのがあるんだもんよ。
 GM:(某有名カップ麺のオマケか…)ではフォルクとしておこう。同僚の名が決まったところでハンドアウトを読むよ?

 ハンドアウト

◆PC@/ジン・ファンデル用      ハンドアウト

 時間管理委員会と呼ばれる組織に属する君は、神皇樹のヴィーヴォ・メルルッツォの監視、観測任務に就いていた。
 重要かつ退屈な任務。しかしある日、異変が起こった。

 神皇樹の間近で魔王級の巨大な力が突如発現、実体化したのだ。
 その黒い力の塊は、瞬く間に守備隊を蹴散らし、神皇樹に迫る──
 しかし今まさに≪魔王≫が神皇樹に襲い掛からんととした瞬間、神皇樹から放たれた眩い光が≪魔王≫の体に吸い込まれ、直後に大爆発を起こした。
 爆炎が収まるとそこには≪魔王≫の姿は無く、無傷の神皇樹が悠然と聳え立つのみ。全ては一瞬の出来事だった。
 当面の脅威が去ったため、委員会は急ぎ神皇樹に異常がないかを調査した。
 その結果。
 出現した≪魔王≫の反応はラース=フェリアから消失しており、それを滅する光を放った為かヴィーヴォの力の波動は著しく低下していた。しかし彼の力の低下により懸念されていたソード・エース復活の兆しは見られなかった。
 発表された「会議の結果」によると、ヴィーヴォは自らに残された僅かな力と引き換えに、神皇樹の力を手に入れようとした不埒な≪魔王≫を封じたのだ────との事だった。

 警戒は続くものの、再び退屈な任務が再会された。しかし……静か過ぎる。第二の予感? いや、違う。
 違和感を拭えない君は、同僚の協力の下、命令違反と知りながら独自の調査に乗り出す事にした。
 目指すは第八世界ファー・ジ・アース。君は、次元門へと身を躍らせた。
──シナリオコネクション
       ……同僚/フォルク

 奥村:長ぇな、ハンドアウト!(笑)
 ジン:いや、実に分かりやすいハンドアウトじゃないか。
 GM:あー、ごめん。頂いた設定との差異を本人に理解してもらおうと思って詰め込みすぎた。
 ジン:なるほど……。大丈夫、理解した(笑)。
 音音:でもオープニングシーンこれで終わったんじゃない?(笑)
 GM:え? んー、じゃ今のでオープニングシーン込みという事で──。
 奥村:オイ。これじゃオープニングになってないぞ、まだ(笑)。
 GM:ま、流石にな(苦笑)。じゃ次行きます。PCA、緋桜くん。
 宗士郎:来い。

◆PCA/緋桜宗士郎用ハンドアウト

 今日も今日とて探偵業を営む君の事務所に、1人の女性が訪れた。
 君に是非依頼をしたいという。
 「1組の男女を探し出し、保護して欲しい」
 そう告げると彼女は、対象の人物写真と共に高額の前金を惜しげもなくテーブルの上に置いて微笑んだ。
──シナリオコネクション
    ……依頼人/浅居あずさ

 宗士郎:……ふむ、前回のラストと無関係のような関係あるような?
 GM:はい、前回のラストと繋がっています。つーか前回のラストがそうだったから、こうせざるをえなかった。
 奥村:ぽーんと5,000GPの前金をだしてくれた人ですよ(笑)。
 宗士郎:500万円の前金か……。
 奥村:つまりその金で浮気調査をして欲しい、って事じゃないの?(笑)
 宗士郎:でも「保護して欲しい」って言ってるから違うんじゃない?
 奥村:だから自分の男が浮気してるから、早急に相手を叩き潰して連れ戻して──
 宗士郎:違げーべ(苦笑)。
 GM:(突っ込みを宗士郎に任せ)……じゃー次ー。PCB……ねおーん!
 音音:はい。
 ジン:おお、音音? 連戦だなー。

◆PCB/風華輪音音用ハンドアウト

 仕えるべき上司の招きに応じ、君はとある人物の宮殿──その私室を訪れた。
 彼女から新たに与えられた任務は、君の予想した通りのものだった。 ダイヤのカード──ジュエル一派の動向を調査し、その計画を阻止せよ。
 但し、離反した七霧の里の調査には別の者達を当たらせるので、調査に類する一切の行為を禁ず。
 そう言って世界の守護者たる少女は、その白銀の美貌に微笑を浮かべながら、君に極上の紅茶を振舞った。
──シナリオコネクション
     ……上司/アンゼロット

 音音:やはりアンゼロットか。
 GM:まあ流れ的に彼女しかいないからな。
 宗士郎:七霧の里の里長……離反?反逆?
 奥村:んー、裏切り、かなー。
 音音:予想通りだったけどなぁ。
 宗士郎:でも裏切り者ってむしろ音音になるんじゃないの?
 奥村:まあ里長の方が偉いっすからねー(笑)。
 音音:「(高圧的且つ冷徹に)……ワタシに刃向うか……」。
 GM:(それ里長……?)まあそんな感じで身内であることを理由に里の調査からは外されてしまうわけなんだけど……。
 ジン:本心ではその調査に乗り出したいような気もしないでもない?
 音音:いや全然(さらり)。
 一同:えええっ?(笑)
 奥村:興味ねぇー!(笑)
 ジン:興味ない?
 音音:うん。だって別に……音音の目的としてはそんな、里の調査なんかよりも、ただ、戦場さえ与えられれば……。

 何かちょっと、「うわっはあ」という一瞬の間(苦笑)。

 GM:うっ。そうか、それだけなんだ……(しょぼーん)。
 奥村:まあ、その辺は気にしなくてもいいんじゃない?
 宗士郎:ハンドアウトとPCの思惑が食い違うことは多々ある事だ。
 GM:あー、そうか。特に音音は第一部からの継続キャラだもんなー。ではプレイ中にキャラクター(能力値ではなく個性)が成長することを期待してイベントを用意しよう。
 ジン:ジャックに対して優しいところを見せるシーンもあったしね。
 GM:よし! じゃあ次だ、PCC!
 奥村:ぴーしーよーん! ……え、4? 俺が4? 4って数字は縁起が悪ィんだよぉ〜(笑)。
 GM:誰だよ(苦笑)……そういえばあなたの名前を聞いてません!
 奥村:ふっふっふっふっ、私の名前はジュエル・ロック! まあ呼ぶ時は『ロック』と呼んでくれたまえ。
 音音:つまりダイヤの6でしょ?(笑)
 奥村(以下ロック):そうですよ? 今はそこら辺にいた男を適当に見繕って体を手に入れているのだー!
 GM:ではそんなアバウトなロックのハンドアウト(笑)。

◆PCC/ジュエル・ロック用             ハンドアウト

 君は──落ちぶれていた。
 かつての仲間──bS、5の2人も今は亡く、ジュエルの軍勢の中で最も下っ端として扱われている。それどころか最近は直属の上司たるハイジュエル(エースはもういないので絵札たち3人)から忘れられたのか、指令すら下りてこなくなってしまった。
 「このままではいけない……!」
 そう焦る君の前に千載一遇の好機が訪れる。
 自分と同じ『カードポゼッショナー』の匂いのする2人組みの男達が、何者かを追跡している現場に出くわしたのだ。
 「手柄は俺のものだぁッ……!」
 しかし漁夫の利を得ようと君が獲らぬ狸の皮算用を始めているうちに追跡者2人の前に邪魔者が立ち塞がってしまい、事態は混迷の一途をたどるのだった。
──シナリオコネクション
       ……敵対者?/紅い邪魔者

 ロック:そうだ! ここで手柄を横取りすれば……俺はハイジュエルの中でもナンバー4になれる! ってゆーかもう全部で4人しかいないんですけどっ!?(一同爆笑)
 GM:(うむ。ここは予想通り乗ってくれたか)。
 ロック:あの野郎……セブン! 俺の目の上のたんこぶ! 常に俺の1っ個上にいやがってッ!
 宗士郎:(笑いながら)なんでっ……そんなにジェリドっぽいんだよっ……(笑)。
 ロック:「俺はおまえを倒さなきゃ、一歩も前へ進めない男になっちまったんだよお!」。
 音音:ジェリドだ……(笑)。
 GM:そりゃ、事実6の上は7だからな(笑)。ちなみに邪魔者はセブンではない。
 ロック:あれ?
 GM:邪魔者が誰なのかはすぐにわかる。
 ロック:そうか、この場にいないPCだな?(にやり) よし、この機会に息ノ根ヲ止メテヤル……(笑)。
 GM:やめれ(苦笑)。さ、オープニングを始めるぞー。まずはジン!
 ジン:はいよー!

             ★  オープニング  ★
 Opening 01  〜 たびだちのよるに 〜  PC:ジン・ファンデル  

      GM:うむ。ではハンドアウトでも述べたとおり、君は時間管理委員会──ライム・ケーベル率いるアレ所属の人らしいな。

 ──『時間管理委員会』とは。
 ドラえもん世界の『タイム・パトロール隊』のようなものと思われる(笑)。
 ただ今回の場合、時空間移動だけではなく世界間移動にも目を光らせ、その秩序を維持する組織と設定しています。

 GM:しかし何故、時間管理委員会が樹の監視を……?
 ロック:さあ?(笑)
 GM:……まあ、次元門とかそばにあるから何か関係あるのだろう(笑)。
 ジン:で、数日前にあった騒ぎの結果ヴィーヴォの反応が……あ、ところで神皇樹ってのはヴィーヴォが変わり果てた姿だっけ?(笑)
 ロック:違う。神皇樹はソード・エースの変わり果てた姿。
 宗士郎:ヴィーヴォはエースを封じるための守護者の如く、氷の中で眠りについている。
 GM:ヴィーヴォの眠る氷の棺はちゃんと視認出来るよ。反応は薄らいだが確かにそこにある。委員会の見解では、力の波動の弱体化は一時的なものであるとの事だ。
 宗士郎/ヴィーヴォ:み……みぃ、ぱ……(笑)。
 GM:(……動いたっ?)
 ジン:俺としては……彼を助けたいな。こんな事で死ぬような器ではないぞ、彼奴は!

 面識もないのに何故そんな。
 さも彼をよく知っているような口ぶりですが、此奴は(苦笑)。

 GM:ではそんな思いを抱えながら、昼休みに社員食堂で(笑)、昼食をとっているとだ。君の同僚が「ここ、いいかい?」と言ってテーブルを挟んで対面側に座る。……えー、外見のイメージとしては『ブラック・ラグーン』のベニー(笑)。
 ジン:ほう。……よう、フォルク。どうだ調子は?
 GM:「別に……いつも通りさ」と、そっけなく答えると、持ってきたおにぎりをもそもそと食べ始める。
 ジン:おまえそんなんでカラダ保つのかよ(苦笑)。
 GM:「君と違ってデリケートなんでね。君の方こそ、いつもより食が細いんじゃないかい?」。
 ジン:そうなのか?(笑) んー……ああ、ちょっと気になることがあってな。
 GM:ふむ。ではそれを聞くとフォルクはおもむろにこう切り出してくる……「ねえ、ジン。君こないだの事件……どう思う?」。
 ジン:どう、って?
 GM:「気にならないかい? あの≪魔王≫はいったい何処から、何の為に現れたのか」。
 ジン:神皇樹の力目当てに、おおかた、『外』からやって来たんだろう。発表にもあったじゃないか。
 GM:おかしいと思わないのかい?ヴィーヴォの反応が低下しているのにエース復活の兆しが見えないことに関して、発表では何も触れられていない!」。
 ジン:……ほう?
 GM:この辺り、フォルクがヒートアップ(笑)。
 音音:凄い熱っぽく語るわけね。ご飯粒が「びゃー!」っと(笑)。
 ジン:……ほう(苦笑)。んー(顔に付着したご飯粒を拭いながら)……それだけ、ヴィーヴォの封印が完璧だったって事だろう。
 GM:「……君、本気で言ってるのかい?」。
 ジン:フッ……まさか(笑)。
 GM:ではフォルクは封筒に入った書類を取り出し見せてくれる。「ちょっとこれを見てくれないか。例の事件発生前後の、周辺地域のデータをまとめてみた」。
 ジン:「……ふむ。確かに、ここ最近のデータに異常は感じられないな」(一同笑)。
 ロック:いや、異常が感じられたから「見てくれよ」って言ってるわけだろ?(笑)
 ジン:え、そお? いや、ここ数日は平穏な日々が続いていたんだが……(笑)。

 それはきっとプレイヤーの主観です。

 GM:ああ、確かに見せられたデータのほとんどに異常は感じられない。封じられてるエースの力と、事件以後弱体化したはずのヴィーヴォの力が拮抗している、という点に目を瞑ればな(ニヤリ)。
 ロック:エースも抜け殻になっている?
 GM:さあね。……だがそれとはまた別に奇妙な観測データが混じってる。
 ジン:ん? それは?
 GM:「次元のひずみさ……」。どうやら例の≪魔王≫出現前後に時空間歪曲──次元門が開かれた痕跡があったらしい。……凄いなラース=フェリアの科学力(笑)。
 ジン:ほほう……なら別の世界から来たという裏付けが取れたわけだな?で、何処から来たか場所は特定できたのか?
 GM:「残念ながら。出現した≪魔王≫の質量や爆発の規模が大きすぎて正確なデータが得られなかった。でもね、重要なのはそこじゃないんだ」……と同じ書類の別の場所を示す。そこには≪魔王≫出現よりも少し前の時間。神皇樹のすぐそばで、ヒト1人通れるか通れないかくらいの規模の次元門が開かれたという観測結果がある。
 ジン:ということは! あの騒ぎの最中、彼らの力を奪って転移した何者かがいたかもしれんということか?
 GM:「憶測の域を出ないけどね」……状況からのみ推測した陰謀論のようなものだから(苦笑)。
 ジン:「転移先は? 割り出せたのか」。
 GM:「……ああ、過去の記録と照らし合わせてたら、最近のデータで同様のものが見つかった。……第八世界ファー・ジ・アース……お手上げだろ?」。
 ジン:ファー・ジ・アースか……なあフォルク、何を言ってるんだ。俺たちの仕事は今回の事件を研究、調査することだろう!
 GM:「……監視と観測だよ。君こそ何を言ってるんだ」(一同爆笑)。
 ジン:……そうなのか?
 GM:そうだよ(苦笑)。
 ジン:むーん……よし。フォルク、このデータのコピーをくれ。俺、しばらくここを離れることにするよ!(一同爆笑)
 GM:「待ってジン。今回の件の裏側がもしさっき話した通りだとするなら、恐らく委員会も既に動いているはず。僕らが動かなくても今後きっと正式な調査隊が組織されて──」。
 ジン:それでは遅すぎるんだよ。
 GM:「(嘆息)……データはそのままくれてやるよ。でもよしておいた方がいい。そもそもアテはあるのかい?」
 ジン:全く無いな(思わず即答)(一同大爆笑)。
 音音:どこ行く気だったんだよッ!(我慢できずとうとう突っ込み)
 ジン:あ、いや(笑)……だから次元門──ゲート? を、無理やり突破する!
 GM:「リスクが大き過ぎる……第一利用許可証か命令書がなければゲートを起動してもらえない」。
 ジン:……命令書がないと使えない?
 ロック:そりゃ使えんだろう(苦笑)。
 ジン:だから無理やり突破してさ……
 GM:「落ち着けよ……四六時中ゲートが起動してるわけじゃないし、都合よく第八世界に繋がってるわけでもない! 警備を突破しながらなんて不可能──」。
 ジン:(諭すような口調で)………なあフォルク。俺たちの仕事はなんだ?
 GM:「監視と観測(きっぱり)」(一同爆笑)。
 ジン:ちっがーう!(笑) ……俺達、時間管理委員会の仕事だ!
 ロック:(フォルク)「(渋い声でニヒルに)……それは、『今、この時を守ること』、か……フッ、おまえまだそんなガキみてぇなことを……」(一同大爆笑)
 GM:キャラ違げーよ! おまえ、重要NPCの行動を勝手にーっ!(笑)ロック:ごめんなさい、つい!(笑)

 「つい」で済んだらGMは要らねーのである。

 GM:まあいい面白ぇ(苦笑)。ではフォルクは君の熱心な説得に負け、協力を約束してくれる。「はぁ……命令書の偽造かか。こりゃ懲戒確定だな」
 ジン:……すまない。
 GM:「誤るなよ。手伝わないぜ?」。
 ジン:わかった……ありがとう。

 そしてその夜。
 ジンはフォルクの協力のもと、「真相解明の為の調査員派遣の予定が早まった」としてまんまと職員を騙し、ゲートの起動に成功する。
 しかし、折り悪く視察に来ていた委員会の幹部によって、偽の命令であることが露見してしまう。
 殺到する警備兵達から、身を楯にしてコントロールパネルを守るフォルク。
 己が友に全てを託して、フォルクは叫ぶ──

 音音:「行けっ、ジン・ファンデルっ!」(一同大爆笑)。
 ロック:そうだ、それがイイ!(笑)
 GM:ぅくっ……畜生、なんかまた面白い方向に持ってかれたッ(笑)。

 OPシーンが「長くなってしまい」、他のPCを「退屈させた」のが敗因です。

 GM:でも負けないぞ……ではジンは友の叫びを胸に刻み旅立った、ということで。
 ジン:あ、ところでGM。俺の格好って、まるっきりスナフキンなんだが、第八世界にこのトンガリ帽子で下りて怪しまれないかな?
 音音:アキバだったら通用しなくもないが──
 宗士郎:──怪しまれない方がおかしい(笑)。
 ロック:いやまて! 事前にフォルクから第八世界のデータを見せてもらっていてだな……「ジン。この写真は『スナフキン』という第八世界の人気者だ。幸いおまえの格好はそっくりだ。おまえならきっと大丈夫だろう!」……と!
 ジャック:おおっ、これはまさしく俺のファッション! つまり俺は『ナウなヤング』というわけだな?(笑)。
 GM:おまえらのデータはいつの時代のだ(苦笑)。
 ジン:あと忘れてはいけない! 俺の大好物『ミパミパの実』も持っていこう。
 GM:まさかソレがヴィーヴォとの繋がり……?
 ジン:よし! では俺は次元の回廊を通り抜けながら、こう写真を見て……ああ、今風だぜ……と呟いて第八世界への到着を待つ! 俺のシーンはそこで終了だ!(笑)
 GM:フォルク、無駄死にか……ッ?(泣)

 未知なる世界への旅f立ちに心踊らせるスナフキン男。
 最後にGMは、シーンプレイヤーにまで裏切られた────。

 Opening 02  〜 レーツェル アオフトラークゲーバー 〜 PC:緋桜宗士郎  

    GM:では次だ。緋桜宗士郎。
 宗士郎:私の番か……。
 GM:ん。では前回のエンディングの通り、「きんこーん♪」とチャイムが鳴る。
 宗士郎:はいもしもし──もしもしじゃねえや(笑)。……いらっしゃいませ。緋桜探偵事務所へよぉうこそ……。
 GM:玄関のドアを開けるとそこには、長い髪をアップにしてまとめ、眼鏡と併せて知的な雰囲気を醸す──二十代半ばと思われる若い美女が立っていた。依頼人と思しき彼女のその美しさは、絶世といっても過言ではないほどに輝いている(笑)。
 宗士郎:ほほぉう、それは中々……あのロンサムガイとタメを張れる美貌の持ち主か。

 ロンサムガイとは「ロンリー・ハンサム・ガイ」の略。宗士郎は岩神勇緋を指してこう呼んでいる。
 決して「ロン毛の・サムライ・キ●ガイ」の略ではない。

 GM:「緋桜探偵事務所、というのはこちらで宜しかったかしら。あなたが、緋桜宗士郎さん?」。
 宗士郎:その通り……! 『行動迅速・秘密厳守・焼肉定食』の緋桜探偵事務所……。
 音音:え。最後の、何? (笑)
 GM:「心強い限りです」と彼女は軽やかに微笑む。
 ジン:今ので心強いのかっ(笑)。
 GM:言葉じゃない。彼の態度がさ。……えー、彼女いわく、高名な探偵である君に是非依頼したい仕事があるそうだ。
 宗士郎:お目が高い……まずは中へどうぞ」。
 GM:「失礼します……」。君に促されるまま、彼女は来客用のソファーに座る
 宗士郎: それでは早速……お話の方を伺いましょうか。
 GM:「……はい」。えー……ハンドアウトでも紹介したが、彼女の名は『浅居あずさ』。彼女は1組の男女が写った数枚の写真をテーブルに置き、「この2人の行方を追い、探し出して頂きたいのです」と告げる。
 宗士郎:ふぅむ……この2人の名前は関係は身長は〜?
 ロック:歳いくつー? 仲良さそうー?GM:ターゲットの名は、『幹蔵人(もときくらんど)』『幹美琴(もときみこと)』年の頃はそうだなぁ、あずささんと同じくらい。写真から伺える様子は一般的な────
 ロック:──バカップル?(一同爆笑)
 GM:何だよ「一般的なバカップル」って(笑)。違げーよ、名字が一緒だろ? 印象としては若夫婦……写真から伝わる二人の間の情愛は、恋人のそれより深い。
 宗士郎:ほうほう。
 GM:んで、この2人の紹介を終え一息ついたところで、彼女は「くすっ」と小さな笑みをこぼす。
 ロック:(スリー)「(喜々として)……あ、つまり親分アレですね。この女性はこちらの旦那さんにご執心というわけでしょう?」
 GM:(あ、居たんだ三ん下)。
 宗士郎:んー。今の笑みはそういう類のものではなかったと思うがね。……「えー、失礼。何か?」。
 GM:「(笑みを含んだ好意的な口調で)いえ……ただ、本来『探偵』である緋桜さんにこのような──ボディーガード紛いの仕事までお願いするのはおかしな話のはずなのに、あなたはその事について何も不満を口にされないのですね」。
 宗士郎:不満……? (あくまで優しく)いえいえ。わたくしは、仕事が出来ればそれで良いのです……(一同大爆笑)。
 GM:おまえっ、それ全然カッコ良くないぞ……っ!(笑)
 宗士郎:え、そう?
 GM:言わんとしたニュアンスは分かる(笑)。だがその言い方だと──
 ロック:「仕事ください仕事ほしいです仕事」っ言ってるようにしか聞こえません(笑)。
 宗士郎:あー(笑)。……ところでその、さっき仰られた『ボディーガード紛いの仕事』が必要になる事情を、差し支えなければお聞かせ願いたい。
 GM:「それが……」と、別段気分を害したわけではないが、その質問には流石に表情を曇らせる。「2人は……どうやら、何者かに狙われているようなのです」。
 宗士郎:(少し驚いたように)狙われている……。狙われるような心当たりは?
 ロック:「(いやらしく)……つまり、あなたが『狙ってる』ってワケでしょう?」(笑)
 GM:「いいえ……。彼らは私の個人的な知己なのですが、2人とも人の恨みを買うような人柄ではありません。先日も周囲に祝福され、結ばれたばかりです」。
 宗士郎:新婚夫婦、ですか。その幸せを妬んでという線も考えられなくはありませんが……この私を頼ってきたからには、他に何か『秘密』があると推察しますが?
 GM:「ええ、仰る通り。彼らの歩んできた人生とは全く無関係なところの理由が……きっとあるのでしょう。私が彼らの身の危険を察知し、どこかへ身を隠すよう指示したのですが、潜伏先を用意する前に先手を打たれ、行方が分からなくなってしまったのです」。
 宗士郎:既に捕らえられた、という可能性は?
 GM:「まだ彼らの行方を追っている者達がいます。恐らくまだ、この町の外には行っていないと……」。
 宗士郎:事態は一刻を争うわけですね? OKOK、分かりました。その依頼……お引き受け致しましょう。
 GM:「!……ありがとうございます」……そう言って彼女は依頼の前金として、傍らのハンドバッグから現金500万円を取り出してテーブルの上に揃える(笑)。「経費を含め、成功報酬の半分を先に用意しました。どうか、お役立て下さい」。
 宗士郎:はぁうあッ? ……こ、これはッ(笑)。(努めてクールに)……お心遣い感謝します。お嬢さん………──お嬢さん?(笑)
 GM:失礼だな、合ってるよ(苦笑)。……ああ。では緋桜くん、【知覚】でジャッジしてみてくれ。
 宗士郎:(コロコロ)……28。なるほど外見よりも年増、という事か……(突然)分かったっ! 彼女は女性に見えるが実は男性。……そういうことだな、レディ?
 GM:(30には達しなかったか)……口にだして言う?今のそれ(苦笑)。
 宗士郎:いえ、心ノ中デ思ッテオク(笑)。
 GM:ん(苦笑)……その服装や雰囲気、落ち着いた言動は成熟した女性のそれを思わせるが、化粧の奥に隠されたその素顔は意外と若い───まだ十代後半の少女であると、君の目は見抜いた。
 ジン:ああ、逆に大人に見せているのか!
 宗士郎:なるほど……ではそういうことで、フロイライン──
 一同:フロイラインっ?(爆笑)
 GM:お嬢さん、レディと来てフロイラインかっ!(笑)
 宗士郎:意味的にはどれもおおむね一緒だろ(笑)。──ご安心下さい。それでは、早速仕事に取り掛かります。
 GM:「よろしくお願いします。連絡は……そうですね、頃合いを見てまた私から致しますので、経過報告や情報交換はその時に。緊急の時はこちらまで……」と連絡先を伝えられる。そして、「では、失礼致します」と君に見送られ、浅居女史は探偵事務所を後にする。
 ジン:ああ、あずさ……(ほぅ)。
 音音:(苦笑)。
 宗士郎:……ふぅむ、なかなか面白い依頼ではないか。
 ロック:「いい女でしたねぇ? あの娘のカラダが欲しひ……ッ!」(笑)。
 宗士郎:お、おまえはーッ(笑) ……あれ? 三ん下、おまえ岩神勇緋のカラダを狙っていたのではなかったのか?
 ロック:え? ああ……「だってよく似てたじゃないですか」とか言ってみる(笑)。
 GM:(言うなッ、ジャッジに成功したわけでもないのに余計なことを……!)

 ここでは、例えプレイヤーに感づかれたとしても、ジャッジに成功しない限り情報としてその事を伝えるつもりはありませんでしたが、しかし……これは……彼女の正体を知るメインGMに、手を噛まれた状態です(苦笑)。

 宗士郎:ほぉう? なるほど確かに……流石、狙っていただけあって見る目は確かなようだな。
 ロック:「へっ、いつまでも三ん下のままじゃおわれませんやァ」(一同笑)。
 音音:終わる!(断言)
 ジン:そのセリフが既に三ん下だ(苦笑)。
 宗士郎:いよーしそれでは早速、調査に取り掛かる! 点呼をとるぞ、……番号──────っ!!
 ロック:「3っ!!」。
 宗士郎:7っ!! ……以上っ!! 突撃────ッ!!(爆笑)
 一同:(爆笑)。
 ジン:大丈夫かこの探偵事務所っ?(笑)
 GM:これが正常な姿なのだ(笑)。
 ジン:番号1、2とかないし! 3と7って(笑)。
 音音:彼らの名前だ(笑)。
 ロック:『カードポゼッショナー』のダイヤの、3と7なんだよ。
 ジン:あぁ、なるほど。……やべぇ面白すぎる(笑)。

 この一見馬鹿げた、風変わりな調査開始恒例のセレモニー。
 これが後に、とある2人の男の運命を変えることになろうとは……。
 まだ誰も、知る由もなかった。

 Opening 03 〜 アンゼロット宮殿でティータイムを 〜  PC:風華輪音音 

 GM:んじゃ続いて音音!
 音音:はい。
 GM:いきなりだがここは、かの有名なアンゼロットの私室。……「かの有名な」が「アンゼロット」と「私室」どちらに掛かるかで意味合いはガラリと変わる。(笑)。

 ホントの宮殿は次元の狭間にあるらしい事を後日確認。なので、現実世界にあるここは都合上「別館」というコトで。

 ロック:りーんごーん、りーんごーん……(宮殿の鐘の音らしい)。
 音音:油断はしない…………(笑)。(慇懃)……アンゼロット様、本日は執務室ではなく私室にお招きとは……何か特別なご用向きでしょうか?
 GM:ではアンゼロットは優雅に微笑んで否定する。「いいえ。ただ今後の任務に就いてのお話をしようと思ったのですけれど……風華輪さんにはいつも辛いお仕事ばかり任せていますので、折角ですからお茶をご一緒しようかと」──見ると初老の執事さんがティーセットを運んで来ている……「紅茶はお好き?」(笑)。
 音音:いえ……生憎とワタシはミネラルウォーターしか口にしませんので。一同:ほう(笑)。
 GM:「そうですか……ペットボトルで宜しければ、ミネラルウォーターもありますよ?」と執事さんが『ロンギヌス印のミネラルウォーター』をテーブルに置いてくれる。
 ロック:ぜってーミネラルウォーターじゃねぇっ!(笑)
 ジン:いや、ミネラルくらいは入っているだろう(笑)。
 音音:……ありがとうございます。こちらは後ほど頂くとして本題に入りましょう(一同爆笑)。
 GM:……未開封だよ?
 音音:(弾けるように)未開封だから危ないんでしょっ!(一同大爆笑)
 ジン:すげぇ信用してねえ(笑)。
 GM:「相変わらず用心深いのですね……(苦笑)。ではお望み通り本題に入りますね」と言ってティーカップを置く。まず先日の、ジュエル一派が絡んでいた事件だが……こちらは残党を駆逐出来たわけではなく。未だ何か企んでいる可能性もあるため、引き続き彼らの手口を知る君に調査の継続とその計画の阻止をしてもらいたいとのことだ。
 音音:そうですか……了解しました。また、あの町に向かうのですね。
 宗士郎:森皇町へ……!
 ロック:あ! 「それから、あの弓と矢は────」。
 GM:「(間髪入れず)──回収しました」(一同爆笑)。
 ロック:ええーっ?(笑)
 音音:もう回収されてる!
 宗士郎:流石ロンギヌスは優秀だ。すげえなぁ(笑)。
 GM:「現在解析が進んでいます。無関係なら解析完了後そのまま厳重に保管される予定です」……半分思い付きの、重要っぽいけど使う予定のないイベントアイテム残しといても、後で始末に困るどころか自分の首絞めることになるぞ?(苦笑)
 ロック:あはー(笑)……そうですね。ハイ、ありがとうございますー。
 宗士郎:でもロンギヌスは、矢の力でナイトウィザードのさらに先まで行くんじゃないのか?(笑)
 ロック&音音:『ナイトウィザード・レクイエム』ッ!(爆笑)
 ジン:なるほど、流石だなぁ。

 なるほどでも流石でもありません。やなこってす(苦笑)。

 GM:話がそれた。「続いて七霧の里の離反ですが──」。
 音音:───離反ではありません。あれは最初から……彼らが存在した瞬間から決まっていた事です。それは、あなたもよくご存知だったはずでしょう?
 GM:うをっ?(苦笑) 「そう……ですね。ですが私も全知というわけではありません。このまま何事もなければ、均衡を保っていけると考えていました……ですからその見通しは甘かったと言わざるを得ません。……では彼らが『本性を現した』件について、何か思い当たることは?」。
 音音:そのために生まれてきたから……ですか? カードというモノ、自体が……。
 GM:「そのために生まれてきたから……ですか。分かりました。貴重なご意見をありがとうございました」。そう言って、アンゼロットは冷めかけた紅茶を一口すすってから言葉を続ける。「では七霧の里──クラブのカード『セプター』の動向についてはこちらで調査を続けます。風華輪さんは現地のウィザードと協力して、森皇町で活動しているハイジュエル達の調査に専念して下さい」。
 音音:了解しました。では赴くとしよう……ワタシの、新たな戦場へ!(笑)
 ロック:りーんごーん、りーんごーん。(ナレーション口調で)……荘厳な鐘の音が、アンゼロット宮殿に響き渡る──
 音音:──そしてワタシは宮殿を出た後、すぐ近くのゴミ箱にミネラルウォーターのペットボトルを「ばしゃーん!」(一同爆笑)。
 ジン:「しゅうわあああああ……」(笑)
 ロック:「ぼこぼこっ、ぼこぼこっ……」うっ、なんという濃い瘴気だッ!(笑)
 GM:ならねえよ(苦笑)。では最後に視点を代えてアンゼロットの私室から……。

 執事を下がらせ1人になったアンゼロットは、宮殿を去っていく音音の後姿を見つめていた。
 戦うために生まれたという彼女は戦場ばかりを求め、いったい何処に帰って行くつもりなのだろう?
 徐々に遠ざかってゆく背中に、銀髪の少女は届くはずもない言葉を投げかける……。
 「あなたの居場所は、戦場だけではありませんのに……」

 音音:……と言ってシーンは閉じるのか。
 ロック:おお、すばらしい……。
 音音:なんかホント前回までのアンゼロットより遙かにマシだったな(笑)。
 GM:全てのアンゼロットが、きくたけ氏や小暮さんのようなパーソナリティを持っているとは思わないで頂きたい(笑)。
 ロック:でもちゃんと、お見合い写真は出さないといけませんよ?
 GM:いや、無くてもいいよ(苦笑)。
 音音:出されてもワタシが困るっ(笑)。
 ロック:はあ、そうですか……(残念)

 Opening 04 〜 野望の王国に急転直下型運命大震災 〜 PC:ジュエル・ロック 

 GM:さあそんなことより、待たせたなPCC!
 ロック:おお、わたしか!
 GM:えーと、君はダイヤの6なわけなんだけど、前回の話の時は一応敵として出てきていたよな。どんな目に遭ったんだっけ?
 ロック:えー、ジュエル・ロック? 演出でボッコボコにされた(笑)。
 GM:では死んだ演出は無かったので一命を取り留めていた、とゆーことでいい?
 ロック:はい是非。開始直後に死ぬのは嫌ですぅ(笑)。

 そんな武勇伝は某スケアクロウさんだけで十分です。

 GM:では命からがら、ほうほうの体で帰還してきた君を待っていたのは、生き残っているハイジュエル達の、「あれ、生きてたんだ」という冷たい反応だった。あれからしばらく経つが、一向に次の指令が来ない。コレはいわゆる、窓際に干された、という奴だろうか(笑)。
 ロック:ではいつかでっかい手柄を立ててあいつらに一泡吹かせ見返してやろうと思っていたりするわけで。
 GM:そんな野心を胸に秘め、さりとて具体的な策も無くぶらぶらと夜の町を徘徊していると、だ。近くを歩いていた男達2人組みから、君らが持つ『カード』が発する特殊な波動のようなものを感知する。
 ロック:む? なんだ、あいつらいったい何をしてやがるんだ?
 GM:彼ら──そうだな、分かりやすく「黒服」としよう。どうやら黒服達は少し離れたところを歩く1組の男女を尾行しているようだ。
 ロック:ほほう! つまりそのターゲットを横取りすれば手柄は俺のモノ?……へへっ、御二人さんよ。尾行ってぇのはこうやるもんだぜ……とか言いながらついていこう(笑)。
 GM:じゃあ【敏捷】でジャッジしてみてくれー。
 ロック:【敏捷】だとぅ? 8しかない……とうっ!(コロコロ)……っく、ファンブル! ……尾行ってのはこうやるもんだぜーッ、ばーん!(コートの前を開く仕草)(一同爆笑)
 音音:お巡りさーん、変態がいまーす!(笑)
 GM:では今のでターゲットに、黒服ともども尾行がバレてしまった。ターゲットは脱兎の如く逃げ出す!
 ロック:「まてぇ〜いっ!」。だっだっだっだっ……あ、でも敏捷8しかないからどんどん離される! ……くそっ、この身体は心肺機能が弱すぎるぅ!(一同爆笑)
 宗士郎:勝手に負けてるし(笑)。
 GM:そんなバカなことやってるうちに時間は浪費されていくぞー。
 ロック:いかん! こうなったら、こーゆー時に逃げ込みそうな港の倉庫街とかに、先回りしてやる!(笑)
 GM:(苦笑)では幸運にも君の読み通りに、ターゲットは港の倉庫街に逃げ込んで来ていた。距離はあるものの、君の位置からは息を殺して身を潜める1組の男女が丸見えだ。そして黒服達は目標を見失ってきょろきょろしている。
 ロック:よし! グッジョブ、俺!(笑)
 ジン:おお、根性だなあ。
 GM:いえ、ご都合主義という奴です(苦笑)……だが君が機を伺い、黒服達が離れるのを待っていると、「待てぇい!」と突如空から勇ましい声が降ってくる! 見上げると、倉庫の屋根の上に立つ1人の人影が見える。
 ロック:おお、あの男……いいカラダをしている(笑)。
 ジン:ちょっと待て(笑)。

 カードポゼッショナー達にことごとく身体を狙われる男、岩神勇緋。

 GM:その男は頭上から口上を述べる。どうやら君にではなく、黒服達に向けてのようだ。
 宗士郎:(勇緋)……「力と己の欲のみで、いつまでも人の心を惑わせると思うなっ! 固く握り合った手は、暴力では離れない……人それを『絆』と呼ぶ」。
 GM:あ、あれ?(笑) 「だ、誰だおまえはっ!?」。
 宗士郎:「おまえ達に名乗る名は、 無い────!」(笑)。
 GM:(勇緋)「──とあッ!」。そう締め括って人影は紅い光を放ちながらジャンプする! 「ブレィィズアァァップ! ブレイブコォォートッ!」──空中で紅い毛並みの人狼へ変身、そしてこれまた深紅のメカニカルな甲冑に身を包み“ズウゥゥン……”と、重い音を立てて着地する。
 音音:演出細かいな(笑)。
 GM:その為の《ヒーロー参上!》だっ!(笑)。「紅蓮爆砕ッ! ブレィィィブレィィィズッ!!」──突如現れたトンデモ戦士が名乗りをあげ、ロックを無視して黒服達と格闘を繰り広げる!(一同笑)……えー、紅い邪魔者は戦闘力で黒服ズを圧倒していたが、戦いの最中、この隙に逃げ出そうとした男女2人が黒服に見つかってしまいます。
 ジン:ああ〜、余計なことを〜(笑)。
 GM:そうなると数の不利が祟ってしまい黒服Aが足止めに回る間に黒服Bがターゲットに肉薄する!
 ロック:ちぃぃッ、マズい! ──と言って飛び出すぞ!
 GM:ん、では飛び出した瞬間に君が見たものは、黒服Aを倒してローラーダッシュで助けに入ろうとする紅い奴、ターゲットに襲い掛かる黒服B、女性を庇うように身を伏せる男性……と、次の瞬間! “カッッ!!”と凄まじい光の爆発がターゲットの2人を中心に炸裂する!
 ロック:うぎゃあぁぁぁぁっ!?
 GM:あ、いや、君は彼らとけっこー距離を置いていたので、目を焼く閃光と爆風、衝撃くらいしか被害はない。
 ロック:うわああああ、目が、目がああああっ!(爆笑)
 GM:よゆーだな(苦笑)。では視覚が戻ってくると、そこには……髪の毛がチリチリになってトランクス一丁でひっくり返る黒服ズと(一同笑)、甲冑の胴体部分が吹き飛んで生身の身体を晒している邪魔者くんの姿があった。
 ロック:黒服達のカードは?
 GM:さっきの爆発で燃え尽きてしまったらしい。もはや彼らが何者だったのか知る術はない。
 ロック:くっ、また仲間が減った……。
 GM:辺りを見渡しても、もうターゲットの姿は何処にも見えない。……あ、爆発の瞬間のことで何か感じたことがあるかどうか、【知覚】判定してくれる?
 ロック:今度は【知覚】か。知覚の方が少しは自信がトァーっ(コロコロ)……ん〜、ふぁんぶる(一同爆笑)。ここぞという時にファンブルを出す俺!(笑)
 ジン:ここぞも何も連チャンだよ凄げーな(笑)。
 GM:では君は爆発の瞬間を思い出し、思った──「そばに居なくて良かった♪」(一同爆笑)。
 ロック:ええいっ、頭を振って恐怖を振り払う! せめて何か情報だけは貰っておきたい……例のボロボロになった邪魔者に近づこう。(クールに)……フッ、おまえの身体を頂こうと思ったが、こう痛んでいては使い物にならないな──。
 音音:──再起不能──!(笑)
 GM:まだ生きてる(苦笑)。「だ、誰かそこにいるの、か……ッ?」。
 ロック:(ガラリと熱血に)──大丈夫かーっ? 俺は、おまえを支援する者だっ!(一同爆笑)
 GM:「そ、そうか……誰だか知らないが助かる……。頼みがある、聞いてくれないか」。
 ロック:ああ。何だ、言ってみろ!
 GM:「緋桜………宗士郎という男に───」。
 音音:──栄光あれーっ!(一同笑)
 GM:死ぬ! そんなセリフ遺したら死ぬから!(苦笑) ……えー、勇緋は奇跡的に無傷のメモリースティックをポケットから取り出し、「これを、渡してくれ……! 奴らのアジトで、手に入れたものだ……」と、震える手で君にそれを渡す。
 ロック:分かった。後の事は任せろ!……今楽にしてやる(笑)。
 GM:ぴぽーぴーぽーぴぃぃぽぉぉぴいいぽおお……(ドップラー効果付きサイレン。でも遠ざかってく音)(笑)
 ロック:ちっ、追っ手か!
 ジン:待て、サイレンのだろ救急車の(笑)。
 GM:「俺のことは構わず、行ってくれ………っ! どうか、俺の代わりに、2人を……ッ!(がくりっ)」と、彼は気を失う。君の手に残されたのは、彼の願いと、小さなメモリースティック。
 ロック:(渋い声を作って)……緋桜、宗士郎──つまり、セブンか。面白い。奴についていけば俺が手柄を取れるってワケだぁっ!(笑)
 GM:途中から下っ端精神がダダ漏れだぞ(苦笑)。
 ロック:よし、ではまずこの『カード印のメモリースティック』の中身をこっそり確認してから、差し障りのない情報だけを残して宗士郎に渡してくれよう!(邪) あははは────。
 音音:じゃあ【知力】ジャッジで40!(ぼそっ)

 ロックは笑いを止め、息を呑む。そして一瞬の間。

 ロック:──とりあえず、宗士郎に渡してみるか(一同大爆笑)。
 GM:や、俺が指定した値じゃないから別に気にすることはないんだが?(苦笑)

 そしていったん隠れ家に帰ったロックは、自力で解析しようと挑戦してみた。その結果──
 ──結局何も分からなかった。

 ロック:だから『4』って数字は縁起が悪ィんだよぉぉッ!
 GM:はい。じゃあ、オチもついたところで岩神勇緋のシーンは終了〜。
 音音:ああ、確かに(笑)。
 ロック:ぅおーいっ違うだろーっ?(笑)

               ★  リサーチ  ★
 Research 01  〜 こんにちは、第八世界 〜     
        GM:ではでは。ようやくミドル───じゃない、リサーチに入るわけですが、まずは順番通りジン・ファンデルから。……早速君は第八世界に転移するところから始まるわけだけど、出現地点に何か希望は?
 音音:女湯に……こうやってターミネーターのように全裸で(一同爆笑)。
 ジン:それはヤバい!
 ロック:スナフキンの意味がない(笑)
ジン:待て、そーゆー意味じゃなくてだな(苦笑)。……あー、じゃあ無意味に高いところが良い。ビルの屋上とか都庁の天辺とかで、風を受けて“ばさばさばさー”って。
 GM:では転移が完了した瞬間、“ばさばさばさー”っと風を受けてマントがはためくのを感じる。
 ジン:おお、ようやく着いたか。ゆっくりと目を開けよう……。
 GM:では目の前は辺り一面真っ白く霞んでいる──
 ロック:雪? 北極とか?
 GM:──そして、身を切るような冷たさの風を受ける方向と、重力を感じる方向とが一緒に感じる。
 ジン:……もしかして落ちてる、今?じゃあコレ、雲かっ!(笑)
 GM:イエスイエス。上空1万フィート……どうやらあの騒ぎで座標軸が若干ズレてしまったらしいねスナフキン?(笑)
 ジン:うおぉおおおっ? では落下しながら雲を割って出現する旅客機を見て……おおっ、鋼鉄の鳥だぁ。すげぇなー! ばさばさばさーって。
 GM:じゃあ目の前にエンジンが迫る

 ぽかーんという間。そして状況を理解したのか一斉に爆笑。

 ロック:じ、ジェットエンジンんん〜?(笑)
 音音:ジェットエンジンってこう、前面から吸気してるはずでしょ?(笑)
 宗士郎:吸い込まれたら巻き込まれて……死ぬ?
 ジン:……“ばちゅんッ!”(一同爆笑) いや待って? ここで俺は《妖精の三騎士》を使って、攻撃を肩代わりしてもらう! そして………“ばちゅんッ!”。
 ロック:おいっ!(一同爆笑)
 ジン:無駄に鋼鉄の鳥にぶつかって死んでしまう妖精さん。可愛そうに……。
 GM:ひでェ、何の意味があったんだっ!(苦笑)
 ジン:いや、攻撃を肩代わりして……そうだ、妖精さんが俺を横に投げてくれたんだ、“ぽーい”って。あああっ、妖精さんっ!
 ロック:(妖精)「もうアンタに呼ばれても来ねえよっ!」(笑)。
 ジン:ああっ、そんなご無体な……。
 音音:アンタが最初に無体をしたんでしょうっ!(一同爆笑)
 ジン:(構わず)で、一難去ってまたばさばさしてるわけだが……うーん、しかしこのまま落ちたら100%死んでしまうなぁ……とか言ってばさばさ考えるぞ?
 宗士郎:大丈夫だよ。ナイトウィザードのクラス持ってるんだろ?
 ジン:持ってる。
 宗士郎:ナイトウィザードの特殊能力《月衣》で、一般的な物理ダメージは十分の一だ。熱さ寒さも防いでくれる上に宇宙空間でも活動できるスグレモノだ……。
 ジン:おお〜!(感嘆)
 ロック:いや!十分の一でもさあっ?(笑)
 音音:高度1万フィートでしょ? 雲の上からの落下がビルの屋上になったところで……(苦笑)。
 ジン:まあ待て、こういう時こそ落ちついて……ふうむ、そういえば俺には《月衣》というものがあったような気がするなぁ……とばさばさしながら考えよう。
 GM:OK。では君が月衣の使い方を思い出そうとすると、君の所持品が1つ、また1つと月衣の中に収納されていく。
 ジン:え? 最終的に素っ裸?(一同爆笑)
 GM:……んじゃ月衣の展開方法を思い出した頃には、君は素っ裸で風を切って落下していることにしようか(苦笑)。
 ジン:うおおおっ? 寒い! 凍る?千切れるっ!(爆笑)
 宗士郎:大丈夫だ、月衣で軽減される。
 ロック:でも痛いもんは痛いんじゃない?
 GM:気が動転した君は月衣をコントロールしようとするが上手くいかず服が消えたり現れたり(笑)。
 音音:ばさばさーっ……ぱっ! ばさばさーっ……ぱっ!(笑)
 ジン:ちなみにこのままいったら俺はどの辺に着地出来るんだろう? くそっ、こういう時に役立つ魔法を一切取ってないじゃないか俺は! 嫌だぞ、東京タワーなんかに「百舌のはやにえ」のように? ああっ、死んでしまうわどーしたらいいんだーっ! ちょっと泳いでずらしてみよう………ああっ風に流される! うーん、しかしこの世界の物を破壊するわけにもなぁ……。
 一同:(爆笑中)。

 ……本気で悩んでそうなのが怖い。足場を確保しよーと飛べない以上、墜落死は免れないよ緑の人。

 GM:誰か彼を助けられる人いる?……こんなところを偶然助けられる奴はいないな(苦笑)。ではジン、君はゲートを潜ってこの世界に現れた言わば《異物》だ。
 ロック:エミュレイターの侵入だ!(笑)
 GM:そう。つまり君の出現は、各種ウィザード関連機関の知るところとなっているわけだ。そして落下し続ける君の瞳に、早くも君を見掛け飛来してくる一団が映る!
 ジン:俺は……タァ〜スケテェ〜……タァ〜スケテェ〜……! と叫びながら落ちている(笑)。
 GM:彼ら──いや「彼女ら」は皆一様に細長い物体に跨って飛行しており、その服装も恐らく制服なのだろう、統一感がある。
 音音:やはりロンギヌスが来た!(笑)
 GM:「ワイバーン2より、ワイバーンリーダーへ。2時の方向、目標を肉眼で確認しました」「こちらでも確認した……ワイバーンリーダーより各機へ、これより目標の解析を開始する。命令があるまで発砲はするな」「了解!」。
 ジン:箒に乗ってるのか! んーいかんなぁ。総攻撃を受けそうな気がするぞ?
 宗士郎:……裸だしナ?(一同大爆笑)
 音音:いけないっ! うちの若い子達が危ないっ!
 GM:うわー、そうだった。なんか今おもしろいことになってるんだっけ……あちゃー、「肉眼で確認」しちゃったよ(一同大爆笑)。では君の周囲を旋回しているロンギヌスの少女達、その包囲の輪が狭まると、悲鳴とも黄色いともつかない悲鳴が上がる(苦笑)。
 ジン:そんな中で俺は、月衣の中に仕舞ったり出したり仕舞ったり出したり───ま、待ってくれ。コレは違うんだ! と必死で弁解する! 話をー聞いてくれーこの世界をー守りに来たんだー!─── 空中でふにふに訴えるぞ(笑)。
 宗士郎:「隊長、大変です。アレは……変態です!」。
 ロック:「アレが地上に降りたら間違いなく世界の秩序を乱す……!」(笑)。
 ジン:俺は敵じゃないー!──出たり入ったり出たり入ったり──見ーなーいーでーくーれー!(笑)
 GM:ではロンギヌス達が混乱を極める中、落ち着きを取り戻した(?)リーダーの凛とした号令が響く──
 ジン:ひいッ? やめてくれーっ!(笑)
 宗士郎:「……一斉射撃……てぇーっ!」。
 音音:ぼぼんぼん、ぼぼぼん……!(着弾音)
 ジン:あああああ……「ちゅどーん!」と堕とされてしまう〜(笑)。

 無数の弾丸の雨が彼を打ち、最後の一発が爆発と共に彼の身体を上空に吹き飛ばす。
 「ああ……爆風とは、暖かいものなのだな……」
 浮遊感に包まれながら、彼は冷えきった身体に爆風の熱が染み渡るのを感じた。
 「──目標を回収しました。これより帰還します」
 少女達の声をどこか遠くの出来事のように聞きながら……彼の意識は闇に落ちて行くのだった。

 Research 02 〜 サクセスストーリーは突然に 〜  

         GM:次のシーンはロックが緋桜くんと接触するところだな。
 ロック:ほーい。……緋桜探偵事務所……確かこの辺りのはずだが……。
 GM:一直線か。よし、ではこちら緋桜探偵事務所。緋桜くん。
 宗士郎:うむ。時間経過は?
 GM:まだ依頼を受けた翌日。君は昨日、周辺への聞き込みなどを実施したが、まだこれといって成果は上がっていない。
 宗士郎:なァに、この私の閃きがあれば、いずれ真相への道は開かれる……。往くぞ、三ん下──!
 GM:と、君が意気込んだところで、「コンコンっ」とドアがノックされる。や、もう少し無遠慮な叩き方かな?
 宗士郎:何っ、この私の出鼻を挫く者はいったい誰だ!
 ロック:「こんこーんっ♪」。
 宗士郎:(胡乱げに)……どちら様ですか?
 ロック:(目一杯渋く)こちら様です……久しぶりだなァ? セブン、そしてスリー。
 宗士郎:フッ……『6』か。何用だ?
 ロック:何用だと? ……な、何用……何用?(一同笑) えーと……ああちょっとおまえ達に、耳寄りな情報を持って来てやったんだ。
 宗士郎:……耳寄り? 俺達はこれから仕事なんだ。手短に頼む。
 ロック:仕事?(バツが悪そうに)……あ、そうか仕事かー。そりゃ悪いことしたなぁ……じゃあ出直すよ!(笑)
 一同:ぅおおいっ!(大爆笑)

 当初の不遜な態度はどこえやら。
 カードの本能か、宗士郎に気を使うロック。──「仕事の邪魔しちゃあ悪いよね……いつならいいかな?」「……だから手短に頼むと言ったはずだが」「え、今言っていいの?」「ん……あ、ああ。どうぞ?」「ダメなの?どっちだよ!」「言えよ! いいから早く言えよ俺を困らせるなっ!」────そしてこちらも普段の冷静さはどこえやら……な宗士郎。
 ドア越しに行なわれた言葉の応酬が一段落ついたところで、宗士郎はロックを事務所に招き入れた。

 宗士郎:ふぅ……用件を聞こう。
 ロック:これだよ、このメモリースティックだ。内容は難解だが、おまえの事務所の設備なら読み解けるかもしれん(笑)。  GM:では緋桜くん、解読するなら【知力】でジャッジ。
 宗士郎:フッ、この褐色でツルツルの脳細胞に任せたまえ。
 GM:……シワシワじゃねーのかよ。宗士郎:そう! あまりのツルツルさ故に、緑の妖精さんが脳内で転けるほどだ(コロコロ)……ん〜、ぴったり20。

 大したことあるんだかないんだか、その脳みそ。
 事実、成功ラインギリギリである。

 GM:(誰の指示で動いてたのか、までは分からなかったな)……OK、内容が一部分かった。どうやら何組かの男女をマークし、捕獲──いや、拉致? しようとしているらしい。拉致した後の指令までは解読できなかったが、基本的に「女性側は決して傷つけるな。男性側の生死は問わない。むしろ殺っちゃって構わん」となっている。
 宗士郎:ほう、カップルを……。男は殺せ、女はお──お、おおお……連れ帰れ、と(笑)。
 GM:そして宗士郎。君がこの町のデータにまで行き着いたとき、ターゲットの名前の中に見覚えのある名前を発見する。  宗士郎:むうっ? 幹蔵人、幹美琴……!
 GM:このデータ上では現在追跡中ということになっている。
 宗士郎:どうやら重要視しているのは女のほうだけのようだが……おい、このデータを持っていたのはいったいどこのどいつだ。
 ロック:ん? か、顔ノ、綺麗ナ奴ダッタナ?
 宗士郎:……そうれだけかっ!(笑)
 ロック:他に何かあったかな……そうだ、何かそいつ赤く光って『紅蓮爆砕ブレンパワード』とか叫んでいた!
 GM:違ーう! そんな、顔がころころ変わるような作品になった覚えはねえっ!(笑)
 宗士郎:ほう、あの作品はそんなスーパー系のアニメではなかったと思うが(笑)。なるほど、何となく想像は出来た。それはスリーの大好物だが、私の玩具でもある。(一同爆笑) ま、あのロンサムガイが手に入れた情報であれば信頼は出来るだろう。中々貴重な情報だった。
 ロック:ふっ、有り難く思うがいい!
 宗士郎:フッ、有り難く思っておこう。私の依頼内容とも、奇妙に一致するようだしな。
 ロック:(何か嬉しそう)そ、そうか? おまえの仕事の役に立ったのか。それは良かった!(一同笑) じゃあ早速出掛けよう。俺も手伝うよ!(爽)
 宗士郎:よし! それでは改めて点呼をとる……番号──────っ!!
 GM:「3っ!!」。
 ロック:ろ、6っ!!
 宗士郎:7っ!! ……以上っ!! よし、出撃するぞ────っ!!(爆笑)
 一同:(爆笑)。
 ジン:何なんだコイツらは……(笑)。

 互いの思惑を乗せ、運命の輪は回る。
 予想通りに事が運び、宗士郎達の後ろにつきながらロックはほくそ笑む───
 (これで良い……これで、俺の出世の道が拓ける! ───だが何だ?この奇妙な高揚感は……?)
 ───だが、運命の行き着く先が1つではないことを、彼はまだ知らない。

 Research 03  〜 ぱお〜ん来訪者 〜   

            GM:さて続いては……えー、音音!
 音音:ワタシ?
 GM:折角宮殿を脱出したところ悪いんだが(苦笑)、君が門を出てしばらくするとロンギヌス印の車両が宮殿前に乗り付けてきて、若いロンギヌス達がばらばらと降車してくる。だがいつまで経っても屋敷に入るそぶりを見せない。どうやら車内の荷物の押し付け合いをしているようだ(一同笑)。
 ロック:「ちょっとー、そっち持ってよー」「えー、やだー! わたしそんなの見たくなーい」(笑)。
 ジン:あれ? ちょっと……結局脱いだまま堕とされた?(一同爆笑)
 宗士郎:まあ、着ていたところでボロボロだろうがな。
 GM:そこには程よく焼き色のついた──ああ、ネットで捕縛されたから網目もついたジンが担架に乗せられている。大丈夫、スナフキン帽子だけは奇跡的に無事だ。
 ジン:なんだよ〜! ヤだよそんな変態的な格好〜!(笑)
 音音:スナフキン帽子が、倒れてるジンのこの位置に、こう……?(一同爆笑)
 ジン:あー、そりゃあ驚く……気になってしまうねえ(笑)。

 明言は避けるが、確かに運搬に細心の注意が要りそう。

 GM:とりあえず致命的な理由で運搬作業は遅々として進まないわけだが……。
 音音:どうした……何があったんだ?GM:えーっと、10レベルオーバーの超エリートから声を掛けられるわけか。キャラ的にも女子高生ノリではなさそうだな。階級とかあるんだっけ?
 ロック:いや、1から8の番号が振られていたり、枠外に『00』がいたり……彼女ももう大人のロンギヌスだから、きっと番号に含まれない(笑)。
 GM:あー、言うなれば『数えられぬロンギヌス』か。では──「あっ! こ、これは、風華輪様……?」と噂の伝説超人を前に全員シャチホコばって、後ろのモノを「ばばッ!」と隠そうとする(笑)。
 音音:何を隠したの……? 見せてみなさい。
 GM:「い、いえっ! ちょっと……」「風華輪様のお目汚しをするわけには……!」(一同笑)。
 音音:いいからどきなさい(苦笑)。
 GM:「あああっ?」──逆らえず道を開けるものの慌てるロンギヌスの少女達。
 ジン:えー、ちなみに肉体はけっこー貧弱です(一同爆笑)。
 音音:貧弱ゥ貧弱ゥー!(笑) ……コレは? と手近な娘に事情を聞こう。
 ロック:ただの変態エミュレイターです(笑)。
 GM:では問われたロンギヌスが渋々といった様子で話し始める。どうやら上空を哨戒任務中だった彼女らは、エミュレイターと思しき存在の侵入を察知したと本部から連絡を受け現場へ急行、あまりに危険と判断し目標を撃破(一同爆笑)。動きを止めた目標を、当初の指令通り回収して本部へ帰還しようとしたのだが、アンゼロットがその侵入者をここに連れて来るようにと言ってきたらしい。
 ロック:「そういえばうわ言のように『みぱみぱ……』とか言ってました」(笑)。
 音音:……みぱみぱ?
 ジン:そうだ! ミパミパの実を見て気付いてくれ〜! 俺はこの世界を救いに来たんだ〜!

 その2つを結びつけるには相当な論理飛躍が必要そうだが。
 その後、この「ミパミパの実」をどこから出現させるかで──「確かカバンの中に入れといたはずだが」「今は帽子しか表に出てなかったよ」「では帽子の中から」「待ってくれ、帽子を取ったら限定2個しか!」「では帽子を叩くと中からころっと」「1個もげたーっ?」「待ってくれ、そんなデリケートな部分を叩いたら帽子が『ぎゅいん!』と!」「ならねぇよっ!」「そんな汚物は消毒だーっ!」──大混乱。想像するだにもう最悪なビジュアルである(苦笑)。
 で、結局。
 「おまえがさっさと目を覚ませばいい」
 というところに落ち着くのであった。

 宗士郎:「あっ、目を覚ますみたい、デスヨッ?」。
 GM:ではその1人の声にロンギヌス達は「ずざざざざっ!」っと一瞬でジンから距離をとる(笑)。
 ジン:──んっ……ここは? ……はっ!──と、月衣から装備を全部取り出して、「きゅっ、きゅっ」と帽子を直し、(紳士然とした態度で)……コホン、失礼。お目汚しを……。
 音音:確かに(一同爆笑)。
 ジン:て、手厳しいなあ(苦笑)………私は時間管理委員会のジン・ファンデルと申します。──実は先日、ラース=フェリアで起きた魔王の一件についてお話が……。
 音音:……はあ?

 そしてしばらくの間、肝心の部分をすっとばして語り続けるジン。彼の熱烈「世界の危機トーク」は音音が巧みに「神皇樹」という単語をジンから引き出すまで続けられた。

 音音:(詰問口調で)……ヴィーヴォはどうなったの?
 ジン:なっ! なぜその名前をーッ?ロック:「ヴィーヴォって?」「アレじゃない? 音音様が向こうで作った彼氏って噂の……」。
 音音:あなた達………下がりなさい(苦笑)。
 ロック:「はーい」(笑)。
 ジン:(構わず)──彼は私の人生の師であり良きライバルでもあり、そして……神でした!(一同爆笑)
 宗士郎:何か知らないうちにライバルにされてる……(笑)。
 GM:そんな設定何処にもなかったぞおまえっ!
 ロック:ライバルであり、神ぃ?(笑)
 音音:おまえも神になったつもりか!(笑)

 こんな危険人物を若いロンギヌス達に任せるわけにもいかず、彼女らに代わり、音音はジンをアンゼロットの私室に連行する。……紅茶を飲ませることが主目的であったことは、言うまでもない。

 GM:だから何も入ってないって(苦笑)。「ようこそいらっしゃいました……私がこの館の主、アンゼロットです。どうぞ、お掛けになって下さいな」──彼女は君が来るのを見越して、薫り高いハーブティーを用意して待っていた。「風華輪さんも、どうぞ」。
 音音:いえ、ワタシは先ほど頂きました……捨てたけどな(笑)。
 ジン:ねえ、俺ってアンゼロットのことを知ってるかな?
 GM:知っている……だろう。実物を見るのは初めてだろうけど。
 ジン:そうか──おお、貴女があの有名なアンゼロット様! お初にお目にかかります。わたくし、ジン・ファンデルと申します。……ところでどうですかこの服。中々に、イマ風でしょう?
 GM:それはどこの世界の挨拶だ(一同笑)。「……あなたの事は時間管理委員会から報告を受けています。命令違反、ゲートの無断使用……一歩間違えれば重大な犯罪として──」。
 ジン:おっと、(堂々と)……私は命令違反をした覚えはありません……我々『時間管理委員会』の仕事は、世界の平和を守ること──!
 GM:うわ正当化しやがったコイツ!(一同爆笑)
 宗士郎:しかもまた「世界の平和」とか言ってるし(笑)。
 ジン:あれ、違ったっけ?
 GM:違うと、何度言ったら分かる!時間、管理、委員会だぞッ?
 音音:落ち着けっ、GMっ!(笑)
 GM:ふしゅーっ……コホン。「いいですか? 今回あなたがとった行動は、本来その秩序を守るべき立場にある者として決して誉められたものではありません。あなたが無茶をしたおかげでゲートが故障してしまい。あなたを送還ことはおろか、数日後に来る予定だった調査団も足止めされてしまいました」。
 ジン:……確かに、多少強引な手段だったかもしれません……。
 音音:多少?(笑)
 ジン:……ですが、今回の件は急を要しました。
 GM:「……ええ。ですから、今回の事は私の権限で今は不問として頂けるようお願いしておきました。───あなたのご友人も、重い処罰を受けることはないでしょう」。
 ジン:(心当たりがないというように)……ご友人?
 ロック:フォルクっ!(苦笑)
 ジン:おお、フォルク! 無事だったのかー!
 GM:たった今までおまえに忘れ去られてたけどな(苦笑)。「その代わり、これ以上問題を起こさないよう暫定的に私の指揮下に入って頂くことになりましたが……どうやらあなたがここへ来た理由と、我々の追っている事件は無関係ではないようです。そこで、今後はこちらの風華輪さんの指示に従って頂けますか?」。
 音音:ワタシの部下になる──ということすね?
 GM:「彼はあくまで『協力者』ですよ?(苦笑) (ジンに)彼女は気難しいところがあるので、色々と理不尽な事を言われるかもしれませんが、仲良くしてあげてくださいね」。
 ジン:承知致しました。このジン・ファンデル──
 音音:まずその服を着替えなさい!(一同爆笑)
 ジン:何故だあっ? こんな、イマ風なのに……理解に苦しむぞ!(笑)
 音音:そんな格好の人と一緒に行動したくありません!

 こうして、何の因果か再び異世界人と行動を共にすることになった音音。
 騒々しい来訪者の出現に、彼女は嵐を予感した。
 そしてその予感は、やがて現実のものとなる。

 Research 04 〜 やるべき事 〜       

           GM:では続いて、やっとリサーチらしいシーンに移る(苦笑)。緋桜・ロック組み。
 宗士郎:これが問題の現場か……(一同爆笑)。
 ジン:早ぇ。どこの現場だよ(笑)。
 GM:全くだ。きちんと調査しないと、情報は差し上げられませんよ?(笑)
 宗士郎:すいません(笑)。んー、しかし何から調べたものか……調査って苦手なんだよなー(ぼそっ)。
 GM:(待て、今のは聞き捨てならないぞ、探偵っ!)。
 宗士郎:おぉそうだ、大切なことを訊き忘れていた。おまえにそのデータを渡した男はどうした?
 ロック:え? あー……、かくかくしかじかとオープニングシーンの事を話そう(笑)。
 宗士郎:ほう、そんな事が……。
 GM:彼のその後を知りたいのなら、調べれば恐らく分かる。
 ロック:え? 別に。知りたくない(笑)
 GM:そう? 彼は君のシナリオコネクションなんだけどー?(苦笑)
 ロック:はっ! そうか、つまり彼からも何か情報が入るということだな? えーと、じゃあ行き詰ったら彼に頼るとして(一同笑)。
 宗士郎:……その『光の爆発』というのは、ロンサムガイから放たれたものではないのだな?
 ロック:えーっと……どうだったっけ?(笑)
 GM:思い出せない? 思い出したかったら【知力】でジャッジ。
 ロック:また知力かっ!(一同笑) てーい(コロコロ)……ふ、16。
 一同:あ〜(期待ハズレという空気)。

 きっと皆ファンブルを期待してた(笑)。

 GM:では思い出せた。あの時、黒服が2人に襲い掛かり、男性が女性を庇った瞬間──その2人を中心に光の奔流が周囲の全てを飲み込んだ。そしてその時君は、なんというか、何か脱力感を覚えたのだ……。
 ロック:そう! あまりの恐怖にその場でおも──何でもアリマセン(笑)。
 GM:(あー、脱力感の正体を恐怖感からと捉えたかー。まあ【知覚】ジャッジに失敗してるし仕方ないかー)。
 ロック:爆発があの2人から起きたということは……ターゲットは、人間じゃないってことか……。
 宗士郎:いや、男のほうは恐らく人間であろうな。力を持っているのは『無傷で連れ帰れ』とある女の方だろう。
 GM:「あれ、じゃあどうしてあの名簿は全部、男女1組になってたんスかね?」。
 宗士郎:ぬ? そうか、危うく見落とすところだった……でかしたぞ三ん下。ならばやはり男の方にも何か理由が──。
 GM:(惜しい、半分正解。ポイントは、名簿の中に何故『男と女、両方が書いてあるか』ではなく、何故『男女1組で書いてあるか』だ)。
 ロック:じゃあどっちかの力でテレポートしたって事ですかね? だとしたら追跡のしようがない(苦笑)。さっきのデータから他に何か手掛かりは?
 GM:幹夫妻の事で? そうだな、あとは……そう、ターゲットがこの町から出ないよう交通機関が監視されていたらしいことと、あと2人が住んでいたアパートの住所が書いてある。
 ロック:お。じゃあアパートを調べてみよう。……あ、でもそんなの三ん下に任せておくか。──おぉい、三ん下ぁ(一同笑)。
 GM:「……何だよ新入り」。
 ロック:ァあ? 何言ってんだよ俺ァ『6』だぜ? 『3』のクセによォ、先にこっちいたからって生意気言ってンじゃねっぞ、こッらァ(一同爆笑)。
 ジン:ちょっと微妙に小力っぽい(笑)
 GM:「お、親分……コイツ、俺より凄げえ三ん下っぽいッスよ」(一同笑)。
 音音:三ん下以下……六下だ(笑)。
 GM:(賽の目で六を出しても勝ち目がない? そら確かに最弱……)。
 宗士郎:(爆笑から立ち直って)──アテンションっ! ……いいかおまえら、今はそんな、下らない言い争いをしている時ではなーい! 今は一人一人が、やるべき事をやる──それが大切だ。
 ロック:やるべき事……?
 宗士郎:そうだ、シックス。おまえはその幹夫妻が住んでいたというアパートを調べて来い。
 ロック:それが、俺のやるべき事──っ! ……うん、俺《傀儡糸》とか《幽体離脱》とか持ってるんだ、無駄に(笑)。家の中にまで侵入して調べられる。
 宗士郎:おお、いいじゃん。調査にとても役立つ(笑)。──そう、それが(囁くように)……おまえが、成り上がるための第一歩だ……。
 ロック:なぁッ? 貴様、俺の心を読んだろう! ……やめて見ないで!私のこのヨゴレた心を見ないでーっ! と言いながら走って逃げる!(一同爆笑)
 GM:「読んだも何も、自分で『かくかくしかじか』って喋ったくせに……」。
 宗士郎:フッ、分かり易い男だよ。だがアレぐらいが丁度いい──俺の、手駒とするにはな(笑)。よし、それじゃあ俺達は………どうする?(一同爆笑)
 ロック:ぉおおいっ、てめぇっ! 俺にだけ働かせるつもりかぁっ!(笑)
 GM:「えーと、『現場百回』ってよく言うじゃないッスか。岩神勇緋が倒れたっていう例の現場……俺たちまだ、その事件が起こった現場を一度も見てねえじゃないッスか」。
 宗士郎:確かに……しかし何だか、いつに無く理知的だな三ん下? よし、今のおまえはよく訓練された三ん下だ!(一同爆笑)
 ロック:なにをーっ? 俺が使ってる時より上だと言うのかー!(笑)
 GM:いや、だって……今日やってるのは『赤い奴(岩神勇緋のプレイヤー)』だから、やっぱ通常の3倍?(@シャアザク)  ロック:ああっ、よく見ると三ん下にツノが生えてるーっ?(笑)
 音音:あ、アンゼロット様にもツノがーっ(一同爆笑)。
 宗士郎:そうか。謎が解けた(笑)。……よし、岩神勇緋に会いに行く。現場も気になるが、奴のほうがあの爆発をよく知っているかもしれん。

 己がやるべき事を為せ──
 それを見失った者は、明日の勝利を得ることも、今日を生き残ることも出来はしない。生き残ったあの男は、それを為し遂げたのに違いない。
 宗士郎は心当たりの病院へと足を向けた。
 明日の勝利を手にするために。

 GM:ま、本当はその役目、ロックがやるはずだったんだが(苦笑)。
 ロック:ん? あれ、本当だー!(笑)
 宗士郎:気にすんな(一同笑)。

Research 05 〜 ミッシング パーソン 〜   

           GM:じゃあ次。お2人さん準備はいいかな?
 ジン:任せろ。着替えもバッチリだ(一同笑)……ほう、これが『じゃけっと』というものか。これが、イマ風なんですな?……とスナフキン帽子を「きゅきゅっ」と───
 音音:(帽子を取り上げるジェスチャーをして)───ぱしっ!(ロンギヌスの少女に)……焼きなさい!(笑)
 ジン:ま、待ってくれ〜。それは俺の命なんだ〜! ぎゃぁぁあーッ?
 GM:帽子を渡されたロンギヌスの子は、それを箸で摘んで焼却炉へ。
 ジン:あああっ。しかたないなあ……と言って第2号を「きゅきゅっ」と──(一同爆笑)
 音音:エクスカリバー一閃っ!(一同笑)
 GM:いったい幾つ持ってるんだ(苦笑)。
 ジン:え、多分10個くらい?
 宗士郎:オバQみたいに同じものが“ずらっ”と(笑)。
 ジン:ふぅ、仕方がない……残りはいざという時にとっておくよ。
 音音:そんな『いざという時』なんてないっ!(一同爆笑)
 ジン:そうだ、音音さん! 私が如何に役に立つ男かということを、お見せしましょう……と言って何とか話を逸らす(笑)。『賢者の石』を使って【錬金術】を使います、てい(コロコロ)……5000v手に入った(笑)。このように私はお金を作る事が出来るのです!
 ロック:犯罪だー! 五千円札偽造ーっ(笑)。
 GM:まあ、それ相当の価値を持つ物を生み出したって、ってことで。……今、何の設備もなしにいきなり、だから凄いといえば凄いが(苦笑)。
 音音:へえ……何回でも出来るの?ジン:いえ。しばらく私、この能力使えません……(笑)。
 一同:使えねえっ!(爆笑)

 いきなり前途多難というかむしろ問題山済み。
 とりあえずジンから帽子を全てむしり取った音音は、彼を連れて森皇町へ。
 そこでは情報収集と称して、何故かイタリアンレストランや人面岩など町の名所を巡る大変愉快な珍道中が繰り広げられたが………長い上にシナリオと全く無関係なので割愛 (苦笑)。
 気を取り直して情報収集を再開するも、誇らしげに「時間管理委員会の書庫」を自称するジンの知識は第八世界では全く役に立たず、また音音も戦闘向けの特殊能力しか持ち合わせておらず、調査の一歩目すら踏み出せないでいた。
 音音が情報収集向けのキャラではないことくらい先刻承知だったので、聞き込みを開始するなり最近の事件を追うなりのアクションをしてくれればイベントが発生する予定だったのですが──

 GM:要するに、動こうにもまだ君らは現在のこの町のことを何も知らないのだから、まずはこの町の今を把握する必要があるのだけど──
 ジン:(脈絡なく)……音音さんはジュエルの一派に心当たりは?
 音音:ええ。1人──いや、2人ほど(笑)。
 ジン:おお、なら話は早い! 会いに行けばいいじゃないですか?
 音音:ん? ああ……。
 GM:(ふん……そうやって他のPCと接触して同じ所からスタートしようとするのは予測済み。そんな横着を防ぐ為に緋桜探偵事務所を無人にしたのだっ!)。
 音音:ぴんぽーん♪
 GM:うわ早っ? だが事務所には────
 ロック:(くつろいだ様子で)……どぉうぞ?
 GM:──って何でおまえがそこにいるんだよッ!(一同爆笑)
 宗士郎:調査はどうしたーっ!(笑)
 ロック:あ、あれ? 戻って来ちゃった? まあいいや(笑)。
 音音:(構わずに)……かちゃかちゃ……こぽこぽこぽ……。
 ロック:よぉうこそ我が『ロック探偵じ──って何やってるんだ君は(笑)。
 音音:ああ、勝手に上がってコーヒーを淹れさせて貰ってる。
 ロック:んー、人の事務所で勝手な事は困るなー?
 GM:おまえもだろっ!(一同爆笑)
 ジン:あ、初めまして。ジン・ファンデルと言います。とても……イマ風の男です。きゅっきゅっ(帽子を直す仕草)ロック:(しげしげと)……んー、なるほど、イマ風ですね(笑)。
 音音:あれ、今スナフキン帽子!
 ジン:ああ、これは先ほどの五千円で買ってきまし──ぃやめて燃やさないでぁああ私の五千円がああぁ……!(一同爆笑)

 家主不在のままここに混乱極まったり。
 もー色んな意味で出会ってはいけない三者っつーか具体的にはロックとジンが一堂に会してしまいました(苦笑)。
 それでも何とか、この暴走する2人を音音が(主に、筋力20を誇る腕力を以って物理的に)抑え、ロックから今起きている事の洗いざらいを吐かせることに成功しました。
 ……ま、誘導尋問までしたところで、ロック自身は大したことを知らないのですが。それでもロックは情報量と称して、音音から100GPをまんまとせしめ……いや、めぐんで貰います(笑)。
 結果、音音達2人はジュエルの目的を知ることが先決と判断し、調査への協力を申し出ます。
 ロックは思いがけず手に入った手駒(ロック主観)に、自分が担当するはずだった幹夫妻の周りの情報収集を任せることにしました。
 そして当の本人はというと──

 ロック:そうだ、俺がハイジュエルに接触を持てば良いんだ!

 ──何やら「自分のやるべき事」を見出した様子。
 本来、ハイジュエルとの能動的な接触が出来ないように、とハンドアウトを用意したのですが……
 ここでGMは一計を案じ、その行動を許可することにしました。
 音音達が入手出来なかった情報を、代わりにロックに入手してもらおうと考えたのです。

 GM:……方向性は決まった? それじゃ教えてもらった通り、幹夫妻の住んでいたアパート──4世帯くらいの小さな集合住宅前に来ましたが。
 音音:ふむ……ちなみにワタシは潜入系の特殊能力を一切持ってない。
 ジン:私も壊すか、ブッ飛ばすか、破壊するしか能がない(一同爆笑)。
 ロック:じ、自分の持てる力の全てを使って頑張ってくれ!(笑)
 ジン:ん〜、限りなく犯罪の予感がするな(笑)。
 GM:や、無理に押し通ること前提でなくとも、大家さん立合いの元に鍵を開けてもらうって選択肢はねーのか(苦笑)。
 ジン:家の前はどうなってる?
 GM:んー、特に。怪しい人影も今は……君達2人の他にはいない(一同笑)。夫妻の家は1階にあるのだが郵便受けには新聞がぎっちり。入り切らない分はドアの横に積んである。
 ロック:もう一週間は帰ってない、みたいな?
 GM:そんな感じだね。
 音音:よし分かった……ジン・ファンデル、そこに立て。
 ジン:はっ。何でしょうか音音さん?
 音音:(手袋を嵌める仕草をしながら)……壁になれ。こんな鍵、ワタシにかかればちょちょいのちょい──【器用】には自信がある。(コロコロ)……21。開いた?
 GM:うわーお(苦笑)。えー、ごめん。鍵は掛かってない(一同笑)。
 ジン:がちゃり。──おお、なんと無用心な(笑)。
 音音:いや、違う。恐らく、鍵を掛ける暇がなかった……。
 GM:そう。もう玄関の扉を開けちゃっなら分かるけど、部屋の中は蛍光灯が点きっぱなしだ。今はまだ日が高いから外からは気がつかなかったけど。
 音音:あ、入ったらちゃんと鍵掛けといて?(笑)
 ジン:うっ、手馴れてるなぁ(苦笑)。中の様子は? 荒らされた形跡とか。
 GM:特にない。整然としたものだ。でも生活臭はある──洗った食器が片付けられてなかったり、テーブルに湯飲みが出しっぱなしだったり。
 ロック:おおお、生々しい(笑)。  音音:狙われることになった原因に関するものが何かないか調べてみる。
 GM:了解。探し物をするなら【知力】でどうぞ。
 音音:(コロコロ)………ち。 惜しい、1足りない。19。
 GM:(いや、十分)では、直接そういった手掛かりに繋がるものは見つからなかった。
 ジン:うーん(珍しく理知的に)……或いは何か見つかったとしても、それが手掛かりと気付けなかったか。俺も判定してみよう、てい(コロコロ)……20。日記帳とかなかった? あー、でもそんなのがあったら既に持ち去られてるか……。
 GM:いや。さっきも言ったように、この部屋は事件当日の夜そのまま───そうだな、さっきの判定で分かったことにしよう……この部屋が、何者かに物色された痕跡はない。
 ジン:え、何で? どーゆーこと……あ! つまり彼らが狙われている理由は、彼らが持つ何らかの情報ではなく、彼ら自身に秘密があるということか!
 音音:……んー、まあ(宗士郎の)オープニングでそれは分かってたんだけどね?
 ジン:ええーっ? そんなぁーッ! (一同爆笑)
 音音:聞きなさい、ちゃんと他の人の話しをっ!(笑)
 ジン:いやっ、最後の「番号ーっ!」のシーンだけが印象強くてっ(笑)。
 GM:微妙に理由になってねぇ………では、キャラクターも無事それを認識出来たというコトで(苦笑)。
 音音:つまりここは、奴らにとって何も価値がない……。
 ジン:あ、じゃあさ!(笑) 2人がいつ、どうやって出会ったのかを知りたい。
 GM:(苦笑)んー、その辺はアルバムで推測できるかな。どうやら同じ職場で働いていたようだね。学生時代の写真もちらほらあるけど、そこにお互いの姿はない。…………アルバムの他にも、壁には女性らしいセンスでピン留めされた写真が幾つかあるんだが──
 ロック:そこにはいつも、同じ女性の写真が……!(笑)
 GM:──ああ、ある。
 ロック:やっぱり!(笑) 「今日も旦那の帰りが遅い……またあの後輩の子と一緒なのかしら? あの女狐、うちの人を狙ってるんじゃ……!」(一同爆笑)。
 GM:違げーよ(苦笑)。……えーとだな高校生くらいの少女──美少女と一緒に写っているものが幾つかある。
 ロック:援交ーっ?(笑)
 GM:黙れ、そんな写真貼り付けるか(苦笑)。そうじゃなくて、確かに3人一緒に写っていたり旦那さんと一緒に写ってる写真もあるけど、基本的に嫁さんの方と一緒の物が多い──つーか、この少女は夫婦が出会う前からの知り合いのようで、嫁さんの個人アルバムの中に姿を確認できる。養子は似てないが、まるで姉妹のように仲良さげだ。
 ロック:じゃあその2人で旦那さんを取り合って──(笑)。
 GM:いーかげんその発想から離れろ(苦笑)。
 音音:……さっき「美少女」と言ったな。その少女に見覚えは?
 GM:ない。
 音音:誰かと似てるとか……?(にやり)
 GM:また誘導尋問か(苦笑)。そうだな……ぱっと見「誰かに似てるなー」って思ってよく見てみたら別人だったみたいな。
 ジン:あー、あるある(笑)。
 音音:彼女は「超美人」? ガープスで25cp分くらいの(笑)。
 GM:ああ。こっちは生まれ表の【超美形】だけどね。
 ロック:(既に断定して)双子ならそっくりなはずだろー?(笑)
 GM:(バレバレなのを承知で)勇緋はこの写真みたいな笑い方しませんからー(苦笑)。
 宗士郎:だが、その一瞬の閃きを大切にするのが、一流の探偵というものだ……。
 GM:あなたは閃き「だけ」を大切にしすぎ(苦笑)。……でだ。少女の存在の他に3人のお気に入りの場所なのか、同じ公園で撮ったものと思われる写真が目につく。
 ロック:公園か。うーん、『公園──
 音音・ロック:──が見える丘公園』(一同爆笑)。
 GM:どんな公園だっ(笑)。えーっとじゃ『樹の見える丘公園』で。一部の人にはここから森皇町の『神皇樹』が一望できる。公園だから植林くらいはされてるだろうけど、何故、『樹の見える丘公園』なのか誰も疑問に思わない、そんな場所。
 ジン:俺達には──ウィザード的な力を持っている人には見える?
 音音:写真に神皇樹は写ってる?
 GM:写──らない。『世界結界』に阻まれ、撮影者の目に写っていても、写真にそれは残らない。
 音音:アングルからは? この角度から写真を撮れば、背後に神皇樹が写る──とか。
 GM:(なるほど、上手いな。まあ少々出来すぎな気もしないではないが……)そうだね。では音音は「そこに無いモノを明らかに意識して撮られた不自然な写真」を数枚発見する!
 一同:おおっ!
 音音:ではこの3人のうち、何人かには、『神皇樹』が見えている……?
 GM:いいや。撮影者1人、 被写体2人入れ代わり立ち代りしているにも関わらず、それらは撮影されている。
 ロック:えっ? じゃあ3人とも──
 GM:──『世界結界』の理の外にいる存在だと推測される。
 一同:…………。
 GM:彼らは、この樹に何らかの思い入れがあってここ訪れ、写真を撮る。でも写真にそれは残らない。だからまた、ここを────のかもしれない(苦笑)。
 ジン:(静かに)ああ……切ない話だな。
 音音:じゃあ、その公園を調べに行きましょう。そこに2人がいるかもしれない。
 GM:いくらお気に入りの場所とはいえ、公園は開けた場所だから、身を隠しながら移動するには不向きだと思うよ?
 音音:でも、それしか手掛かりがない……。
 ジン:移動する前にさ、もう少しこの辺りで「2人がいなくなった日」の事を聞いてみようよ。隣の住人とかからさ。
 GM:(やっとこっちに来たか)……大家さんちが隣の一軒家です。

 これでようやく、当初から用意していた情報を渡せる……(苦笑)
 ジンは大家の小母さんに蔵人の弟を名乗って情報を訊き出そうとします。
 「兄と連絡が取れなくなって来てみた」と告げると、夫婦に好印象を持っていた大家さんも、数日前から「電気が点いているのに新聞が溜まってる」状態を不審がっていたとのこと。そして肝心の「当日の夜」のことを訊ねると──

 GM:「いやだー、何か事件なのかしらねー。でも『言い争う音』とか、『悲鳴』なんて聞いてないし……あ、そうだ──」。
 ジン:何かありましたか!
 GM:「──先週の日曜、ちょうど『から○りTV』見終わった頃にね?(一同笑)『どーんっ!』って大きな音がして、びっくりして表に出てみたら──ほら、そこの角のお家のブロック塀が崩れていたの!」。
 ロック:あ、例の爆発だ。
 音音:どのくらい崩れてる?
 GM:掛けられているブルーシートの範囲は凡そ……3メートル強。
 ロック:んんっ? 小さいな……。
 GM:ああ、だから向かいのいえの壁に被害はない。もし港の爆発と同じ規模だったら、交差点に面した家が全壊しかねない。
 ロック:うおー、怖えー!(笑)
 音音:溜まってる新聞はいつからだった?
 GM:月曜からだ(ニヤリ)。
 宗士郎:一致したな。
 GM:あともう1つ。被害に遭った家の住人が事情聴取を受けた際、皆一様に身体のダルさを訴えたため、病院で検査を受けている。他にも角の住人数名が同様の症状を訴えたので、一時は薬品事故かと騒然となったが、検査の結果、中毒症状はなく、翌日には全員元気になっていたそうだ。
 音音:なるほどね……なら同様の事件が他にもなかったか、警察の記録を調べてみよう。
 GM:警察関係者に直接コネがなくても、ロンギヌス経由でなんとか手に入るかもしれないけど、時間掛かるよ?
 音音:そっか……。じゃ、いい(笑)。
 ジン:んー、どうもジュエルと関係ないこと調べてる気がしますねー(苦笑)
 音音:好奇心は止められない………なんか普通の探偵やってる気がするけど(笑)。
 宗士郎:では私が「普通じゃない探偵」をやればいいんだな?(一同笑)

 Research 06  〜 ガラス越しにセンチメンタル 〜       

    GM:では噂の『普通じゃない探偵』行きましょう(笑)。君は絶滅社印の……いや、印ついてたらマズいって(笑)、えー、息のかかった病院に来た。
 宗士郎:ここが、ロンサムガイのいる病院か……。
 GM:そう。勇緋はここの集中治療室に収容されている。彼のアサルトスーツも回収され、地下にある秘密のラボで修理が行なわれている。まあ、こっちは簡単な修理と破損パーツの交換ですぐ済むんだが──
 ロック:(博士?)「けぇっけっけっ……パワードスーツと身体が別々にあるからイケナイのぢゃ!」。
 一同:やべぇぇぇッ!(大爆笑)
 音音:(博士2)「今日この日、岩神勇緋は生まれ変わるのぢゃ!」(笑)
 GMやめれー! ……あ、いや、プレイヤー的にはちょっと惹かれるものが無いでもないが(笑)、勇緋の為に止めてやってくれー。
 宗士郎:えーとそれで、ロンサムガイの容体は?
 GM:ああ。担当医によると、打撲や火傷といった外傷はほとんど治療出来ている。ただ極度に衰弱しており起き上がれるようになるまでに数日を要するとのことで、今は眠っている。
 ロック:(心電図の波形をジェスチャーしつつ)……ぴこーん、ぴこーん、ぴこーん──
 音音・ロック:(ハモって)……ぴーーーーーーーーーー……(一同爆笑)。
 ジン:やべぇホントに死んだ!(笑)
 GM:死なすなっ……ちっ、じゃあ目を覚ましてやる(苦笑)。
 宗士郎:おお、生きていたのか──目が覚めたかね?
 GM:「……ああ、緋桜さん──」ちなみに面会はガラスの窓越しで、マイクを介して会話は行なわれている。「──ええ。なんか、改造される夢を見て、それで」(一同爆笑)。
 宗士郎:夢だと良いな(笑)……具合はどうだ、プラーナ内包値は幾つ下がった?
 GM:ヤな事言うなあ(苦笑)。「むしろレベルが上がって増えてます……そんなことより、どうしたんですか今日は?」。
 宗士郎:うむ。君に……何点か、訊きたいことがあって来たのだ。包み隠さず答えてくれたまえ。
 GM:「──分かりました。僕に答えられることなら」。
 宗士郎:(真剣な声で)好きな───女性のタイプは……?
 GM「か──」。
 一同:「か」?(笑)
 ロック:カニのような女性、か(笑)。
 GM:「──ってそうじゃなくて、タイプというかただ特定の個人に惹かれるとゆーか……っ」。……えー、テンパっている。あまり病人を苛めないでくれ(苦笑)。
 宗士郎:ほう……いや大変結構。なに訊きたいというのは他でもない……君はあの時、何を見た──いや、何を感じた?
 GM:「やはりその事ですか。ええ、あの時───」と回想と共に彼は語る。状況は概ねロックから聞いた通りだ。ただ爆発の時、彼は咄嗟にプラーナを解放して防御を試みたが──
 宗士郎:──出来なかった?
 ロック:(静かに)え、ヤバいなそれは……。
 GM:いや。出来なかったのではない。解放したプラーナが霧散したのだ。そして内包していたプラーナも“ひゅうっ……”っと根こそぎ持っていかれた感じがした、という。……バルブを捻って適量を出そうと思ったら、強引に全部吸い出された、みたいな感じ?
 宗士郎:それで結果的に防御ができなかったと。
 GM:そう。そして《獣化》まで解けてしまった。あとは、そうだな……(コロコロと勇緋の【知覚】ジャッジ。成功)……うん、爆発の直前に軽い脱力感を覚えたそうなのだが、それはもしかしたら、「闘気」がまず霧散したからではないか……ということらしい。
 ジン:げげッ!
 音音:ちょっと、マズくない? それ(苦笑)。
 GM:(心配要らん。順当に行けば君らがその被害に遭うことはない、はずだ)。
 宗士郎:プラーナが奪われた……エミュレイターか?
 GM:「いえ、あの夜……紅い月は出ていなかった。あのカード達が跋扈する夜は、決まって紅い月は昇らない……」。
 ロック:なるほどお……すっかり忘れていたー(ぼそっ)。
 一同:うおぉいっ!(笑)
 GM:……じゃあそゆわけで、それが彼らが他のエミュレイターと異なる点だ、と今決まりました(苦笑)。
 音音:プラーナが吸い取られると同時に、爆発も大きくなった?
 GM:や、流石にそこまでは分からな……ってこの場にいない人が質問しないっ(苦笑)。
 宗士郎:いや、大体分かった(笑)。そうか……それにしてもよく無事だったな。
 GM:「ええ、スーツが無ければ即死でした」(一同笑)。
 宗士郎:そいつは重畳だったな。では例の2人はその後どうした?
 GM:意識が薄らぐ中、勇緋は彼らが走って逃げていくのを目撃している。正確には男性が気を失っているらしい女性を抱えて走って行ったそうだが。君らが危惧したような「空間を跳躍した」ということはないようだね。
 ジン:女性の方が力を使って、気絶した……?
 宗士郎:走って……そうか。となると、まだこの町に潜伏している可能性は高い。……フッ、やはり君は有能だ。うちの三ん下が君を欲しがるのも分かる。
 ロック:「(ガラスにへばりついて)……じゅるじゅる……」。
 GM:俺の手を離れた途端これかっ!(一同笑)
 宗士郎:コレは気にするな……では、協力感謝する、と言って部屋を去り──ぃぃぃいや待ったっ! 最後にもう1つ気になる事があるのだがね。君はあの2人に関するデータをどうやって手に入れた? 奴らのアジトだとは聞いている。だが『何故そこに君が行き着いたのか』を知りたい。
 GM:うをっ? 去り際に核心か……探偵っつーか刑事だなそれじゃ(苦笑)。「それは……麻姫を、生き別れの双子の姉を探していたんです」。
 宗士郎:ほう……その結果、ジュエルのアジトに行き着き、奴の計画を知ったと。
 GM:いや、少し違う。……えーとだな。勇緋は長年、麻姫の足取りを追っていたが、ついに彼女のことをよく知ると思しき女性の存在を突き止めた。麻姫と一緒に暮らしていた事もあるというその女性が結婚後この町に移り住んできたことを知り、彼女の行方を聞こうと接触しようとした矢先──この夫妻を付け狙う者がいることに気付いたのだ。で、黒服を追跡したらアジトに行き着き、そこで計画と彼女らの現在地を知って現場に急行した、と。
 音音:それであのタイミングか。さすが勇者(笑)。
 GM:努力して勇者にクラスチェンジした男をなめんなー?(笑)「……目の前の人の窮地を見過ごせなかった。それが麻姫の知り合いだというなら尚更──麻姫がいない間、僕が守らなければ、って……。でも力が及ばなかったせいでこんな──!」。
 宗士郎:いや、君はよくやった。その頑張りは、いずれ君の姉も知る事になるだろう。或いはもう知っている……かも知れん。
 GM:あ、それ言っちゃう?(笑)「えっ……? それってどういう──」。
 宗士郎:いずれ分かる時が来る。今はその身体をゆっくり養生させることだ。
 GM:「はい……分かりました。……あ、緋桜さん!」。
 宗士郎:ん? なんだね。
 GM:「僕はあの2人の素性をほとんど知りません。ですが……気をつけて下さい。彼女らを危険な目に遭わせるのは『危険』な気がします。どうか2人のこと、よろしくお願いします……」。
 宗士郎:分かっている。任せておきたまえ……全てはこの、褐色の脳細胞が導いてくれる。

 自分が必要としていた情報は全て手に入った──
 そう感じて、緋桜宗士郎は病院を後にする。
 あとは、事務所で全てのピースが揃うのを待てばいい。

 Resezrch 07 〜 突撃! ビルの谷間の昼ご飯 〜    

      GM:さあ来たぞジュエル・ロック。次は貴様の番だ。
 ロック:くっくっくっ……どうやら今回の事件、少し情報が足りないようだ。ここは直接、ハイジュエルのお三方に話を聞いてしまおう(邪)。……ふっ、なぁんて手っ取り早いんでしょうー!(笑)
 GM:……しかしハンドアウトでも伝えた通り、君は事実上の戦力外通告を受けており、ハイジュエルからの連絡は一切途絶えている。何かのミッション中ならその都度連絡先を指定されていたが、今の君にはそれすらない。
 ロック:え……あれ?(笑)
 音音:君は見放されたんだよ(ぼそっ)。
 ロック:……あれー?(一同爆笑) えっ、じゃあ俺って何も情報手に入れられないままシーン終了? うぎゃーっ?
 GM:(苦笑)──そうして君が、森皇町のオフィス街を徘徊していると、どこからかカードの気配を感じる。
 ロック:むっ! 何奴?
 GM:えー、定期連絡の際によく使っていた公園の一角で、君の直属の上司であったジュエル・ジャック(以下 JJ)がスーツを着て……ベンチに座ってコンビニ弁当を食べています。
 ロック:おお、ラッ──ええっ?(一同笑) 何スかその落ちこぼれた姿はーっ(笑)。……どうも。ご無沙汰しております、JJさん?
 GM:「……あァ? なんだ、おまえか」と言って、興味を失ったようにまた、390円くらいのスパゲッティーをすすり始める(一同爆笑)。
 ジン:ああ、なんて安っぽいんだっ(笑)。
 ロック:ジュエルは皆、なんか終わってますね?(笑) こないだクイーンは頑張っていたよーな気はするんですけどっ!
 GM:このうらぶれっぷりはどっかの槍のサーヴァントを彷彿とさせるな……いや、それは彼の英霊に失礼か(苦笑)。ま、とりあえず外見は精悍な男性ということで。「おまえ、まだ生きていたのか……ったく、悪運が強い奴だな」。
 音音:──確かに(笑)。
 ロック:ええ、お蔭様で……ところで、JJさんはこんな所で何をなさっているんで?
 GM:「(ドスを効かせて)……あァ?決まってンだろーが、おまえらが不甲斐ないからこの俺様まで資金調達役に回されてんだよ」。
 ロック:えっ、ハイジュエル・ナンバー3のJJさんが──?
 GM:「ああそーだよ中間管理職の俺様は、この春から花の新入社員だ何か文句あっかあああン?」(一同大爆笑)。
 音音・宗士郎:も、もうダメだ(笑)。
 ロック:それでいきなりサラリーマンとはッ? え、えっと……遅れ馳せながら、今月の納入分です……って言って、さっき音音から貰った100GPを渡す(笑)。
 GM:「チッ、今更おまえらなんてアテにしてねーよ」と言いつつ懐にしまう(一同笑)「……何だよ、まだいたのか。用は済んだだろ、さっさと帰れ」(笑)。
 ロック:まだ終わってねぇっ(笑)……い、いえ。今ハイジュエルの皆さんは何をやっているんでしょうかねぇ?
 GM:「(静かに、底冷えのする声で ……それを聞いてどうするつもりだ」
 ロック:いやッ! 決して皆さん方を出し抜こうとかそういうわけじゃあッ!(笑)
 GM:「なるほどなァ……俺達を出し抜こうって魂胆か」(一同爆笑)。
 ロック:そそそんなっ、滅相も無い!そのっ、クラブの連中が何かを狙ってるらしく活動しているようですが、そのことについて少しばかり情報を持ってまして、もし皆さんのお役に立てるならな〜と!
 GM:「クラブの……? 何の事を言ってるのかサッパリだな」。
 ロック:え? ですから奴らが、男と女を追っかけてる、とゆーよーな……。
 GM:「(ゆらり、と)──そこまで知ってやがったのか。こそこそ嗅ぎ回ってる奴がいると思ったがおまえか、シックス……」。
 宗士郎:逆に情報バラしてどーすんだよおまえっ(笑)。
 ロック:あ、あは、あはははははっ?
 GM:「つい先日の事だが……『セプター』の拠点の1つが壊滅し、任務中だった『カードを持つ者』が2人消された──」。
 ロック:おおお、俺じゃないッスよ?(一同笑)
 GM:「(口調を戻して)──わァってるよ。お前ェにそんな芸当が出来るとも、そもそもそんな度胸があるなんざ思っちゃいねえ」。
 ロック:へ、へえ……それはそれでちょっと腹立つなあ(ぼそっ)。
 GM:「なァんか言ったか、シックス?」(一同笑)。
 ロック:なっ、何でもアリマセンッ!
 GM:「……ったくお前ェは感情を顔に出しるぎなんだよ。もうちっと腹芸って奴を覚えろよ(苦笑)」。
 ロック:は、腹芸ッスか。なんなら今、ここでお見せしましょうか? ばーん(笑)。
 GM:「お前ェの汚ねェ腹なんざ見たかねえよっ!」。
 ロック:ええ、私も今のこの身体の腹は好きじゃありません(笑)。

 JJの言う腹芸とは「己が心の内の目論見を相手に見せず、目的を遂行する駆け引きの能力」──だったかな?
 で、ロックの言ってるのは「腹踊りとも称される一般的な宴会芸」。
 ロックも分かっててボケてやがるので、そこには突っ込みませんでした(苦笑)。

 ロック:むう、だが敢えてここは単刀直入に訊こう……セプターはいったい、何を企んでるんで?
 GM:「さあな……」。
 ロック:そして我々はいったい、何を企んでるんで?(一同笑)
 GM:「さあな……」(苦笑)。
 ロック:それからあの男と女は今どこに──いや、何者なんで?
 GM:「(嘆息して)ちったあ考えろ。おまえも薄々感付いてるんじゃねぇのか……『欠片』だよ、カ・ケ・ラ!」。
 ロック:カケラ……つまりどういうことで?(一同爆笑)
 GM:単刀直入っつーよりその頭悪そーな聞き方止めなさい(苦笑)。えー、JJの言う『欠片』とは、2人の神──かつて神々が栄えていた時代、彼らが仕えていた『男神』と、その伴侶とも言うべき『女神』──その飛び散った魂の一部のこと。そして幹夫妻はそれぞれの魂を宿した人間。2人の神は結局結ばれる事なく引き裂かれたわけだが、いつか必ずどこかで結ばれようと約束を交わした。……長い時を経て、彼らは運命的にめぐり合い、宿命的に惹かれ合うまでに至った幸福な1組のうちの1つだ。
 ロック:あ。それって前回、樹の下で待ってた女の子と同じ?
 GM:そう。でもあそこまでの力は持ち合わせていない。彼らが宿した神の魂は極々小さなもので、何の奇跡も起こせない。だから恐らくカード達の探知にも引っかからず、平穏に暮らしてこれた。
 ジン:……! それが2人1組になったことで反応が強くなって見つかってしまった?
 GM:そういうことになるね。
 ジン:皮肉な運命だ……。
 GM:ま、今のが「名簿に男女1組で記録されていた理由」にあたる。力を持たない欠片でも、2人1組になればマーク出来る。  ロック:あの爆発も2人一緒だったから起きたってこと?
 GM:うん。でもそういった『暴走』じみた力を使うにも彼らは不完全なもんだからいわゆる『元気玉』方式で(笑)無意識に補って力を使ったんだろう。
 ロック:オラにちょっとずつ元気を分けてくれー!(笑)
 GM:元気玉と違って強制的にだけどな。普段イノセントでも微弱な生命力を発散させているから、いつもはその分だけを「ちょっとずつ」ね。でも勇緋はうっかり体外にプラーナを放出してしまったから、元気を「一気に全部」分け与える形になって、死の淵をさまよった(一同笑)。そりゃもー、龍使いの力で練られた勇者の豊潤なプラーナを解放力無視で一気にだもの。大地を揺るがす大爆発さ(苦笑)。
 宗士郎:やべえ絶対死ねる(笑)。
 ロック:うーん、防御側のエネルギーを利用して攻撃する。はー、なるほど使えるなァ……(ぼそぼそ)。
 音音:ちょっとそこっ?(笑)
 ロック:あ、いえいえ何でもありません続けて下さい(笑)。
 GM:また思いつきで悪用すんなよ(苦笑)。「で、だ。どうやらまたそれを邪魔しようって動いてる奴らがいるようだな」。
 音音:あれ? それってジュエルの仕業だったんじゃないの? だって前回──
 宗士郎:一緒になられると自分達が消えてしまうから困る、みたいな感じで……。
 ロック:いいや? あれは単に2人の中を引き裂きたかっただけ(笑)。
 GM:えーと、補足するぞ? まず、ジュエル達が仕えていた『男神』が築こうとしていた『理想郷』は、彼らが期待したものではなかった。だから彼らは『男神』を見限って、別の神に鞍替えすることで自分達の望む『理想郷』を築いてもらおうとしている。
 ロック:そーそー……思い出しやした! そーいや今俺たちが仕えてる神様ってのは女神様のお父様でしたね?
 音音:父親が娘を連れ戻そうとしている……?
 GM:そう。この『父神』様は、娘の結婚に反対しておられたのだ(苦笑)。だから「一緒になられると不都合」ってんじゃなく、「2人がくっつくのが気に入らない。認めない。帰ってきなさい」ってこと。
 ジン:なんっつー神様だ(笑)。自分でやりゃあ良いのに。
 ロック:(父神?)「(渋く)私は、その男との結婚を許した覚えはないよ?」
 音音:(娘?)「あなたにそんな事を言われる筋合いはありませんっ!」(笑)。
 ロック:(父神?)「私は……おまえの魂のお父さんなんだよおぉぉぉっ?」(一同爆笑)。

 それじゃただの電波系ストーカーおじさんです。

 GM:「自分が動いたんじゃ目立ち過ぎるから手駒を使って妨害してるのさ」……娘を取り戻すと同時に、『男神』の欠片から力を奪って存在を希薄にし、逆に自身の力を蓄えようともしているらしい。
 ロック:そうでやしたか……(小声で)つまりあの2人をゲットすれば俺でもその神様の力を奪えるかもしれねえってコトだな……?
 GM:「(バッチリ聴いてて)ま、おまえにそれだけの器量がありゃあな……」。
 ロック:い、いやいやぁ。あの、見つけたら報告するだけにしときますよはっはっはっはっ……。
 GM:「ほォう……じゃ、そん時は当然、俺のトコに情報よこすってコトだよなァ?」。
 ロック:え。あ、ハイ分かりましたモチロンでさぁ(笑)。
 GM:「信用ならねぇなあ(苦笑)……ま、いいさ。おまえがどこで下手打って野垂れ死のうが知ったこっちゃねぇ。今は俺も『生き残る』ことを考えるだけで手一杯だ(ぼそっ)」。
 ロック:なんかウチら……バラバラですな、もう(一同爆笑)。
 ジン:やべえ、ジュエル終わる(笑)。ロック:セブン達が離れてからというもの……なんというか皆、かみ合わなくなりましたよね……。
 音音:あー、ダイヤの7って「要」のカードが抜けたから(苦笑)。
 GM:ん? そうか、そう口にするなら……「いや、もっと前だ。始まりは、自分自身の『意志』を持つ事に憧れ、仕えるべきを神を俺たちが見限った……あの時からだ」。
 ロック:そうかも知れませんね………じゃ、あっしはこれで失礼しやす。
 GM:「ああ、達者でな。ま、次に会う時は、果たして──」。
 ロック:ふっ、ナニ言ってるんですか。あっしが、ミナサマ方を、裏切るとでも思って、イルンデ? (堪えきれず徐々にニヤニヤ)
 GM:「だからおまえは顔芸……じゃねえや(一同爆笑)、腹芸を覚えろっつってんだよ」って、何故か笑って見送ってくれよう。
 ロック:ふぅ……なんかJJ良いやつだったなぁ(笑)。
 宗士郎:でも「ジュエル」とは名ばかりの生活レベル(一同大爆笑)。
 GM:ダイヤのカードは「富」の象徴なのに何故ーっ(笑)。
 ロック:だから「富」を求めるんだよ彼らは。……求めるだけで手に入らないけど(笑)

 互いの思惑を乗せ、運命の輪は回る。
 今まで歯牙にもかけなかったはずの男の後姿を見送りながら、リクルートスーツに身を包んだ男は口元に太い笑みを浮かべる──
 (ったく、長生き出来るタイプじゃねえよなぁ、アイツは。……いや、そいつは俺も同じか)


 ──運命の行き着く先が1つではないことを知った彼は、立ち上がり歩き出した。  Research 08  〜 ゾロリ揃ってズバッと 〜    

          GM:さて、解決に至る情報は概ね出揃ったわけだが──?
 宗士郎:ここは1つ、事務所で情報の整理を行なうべきだろう。そろそろロックが情報を携えて戻ってくる頃合いだ。浅居女史とも連絡を取らなければ……。
 GM:了解。では事務所に戻ると丁度「じりりりりりりんっ♪」と電話が鳴る。
 ロック:(当然のように)はい。緋桜探偵事務所です。
 宗士郎:あ、あれ?
 GM:「お忙しいところ失礼いたします──」って、あれ?
 ロック:あれ? セブンじゃないの?

 傍目にも間抜けな「あれ?」の三重奏。

 宗士郎:私が今帰って来たところなのっ!(笑)
 ロック:え。じゃあえっと……誰?(一同爆笑)
 GM:「あ、わたくし浅居あずさと申しますけれども──」。
 ロック:浅居さん? えーと──
 宗士郎:がッ(と受話器を奪い取って)……失礼しました。緋桜、宗士郎でございます。あなたに最新情報をお伝えしましょう。岩神勇緋の、好きな女性のタイプは……(一同爆笑)。
 ロック:そっちかよ! ……あ、でも面白いかもしれない(笑)。
 GM:「岩神──勇緋さん?」。
 宗士郎:……少々、最新過ぎる情報でしたかな。彼の事をご存知では?
 GM:「ええ……わたしは、直接存じ上げておりませんけれども(苦笑)」。
 ジン:直接ではなく間接的に知ってるってことか。
 音音:ん? 『わたしは』………?(ぼそっ)
 宗士郎:失礼。では改めてご報告しましょう。……が、その前にあの夫婦の事なのですが──
 ロック:あ、こっちで分かった事もセブンに伝えておくー。
 宗士郎:──結論から申し上げて、どうやらあの2人が狙われている理由は彼らが『人間ではない』ということに起因するようですが、このことをあなたはご存知で?
 GM:「……はい。ですが彼らはれっきとした人間です。ただ限定的に世界結界の影響を受けないというだけの……」。
 宗士郎:それを知っているあなたは……いったい何者ですかな? 彼らの素性を知った上で、この私に依頼をしてきたあなたは……。
 GM:「それについては……今はまだ申し上げる時ではございません。それにしても流石ですね。僅か1日でここまで……では、彼らの行方については?」。
 宗士郎:いえ。そちらについては、目下調査中というところです。
 GM:そうですか……では引き続き、調査をお願いします──
 宗士郎:ああところでフロイライン。あなたは今どちらに?
 GM:「今は──こちらも少々事情がございまして、常に移動している状態なのです。ですから調査はあなた方にお任せするほかなく……」。
 宗士郎:あなたも追われている……? 分かりました。(自信満々に)ご安心下さい、既に目星はついております……!  一同:えええええっ?(一同爆笑)
 GM:うそだあああっ!(笑) えー、「やはりあなたにお願いしたのは正解だったようです。では、彼らの事をよろしくお願いします……」と言って電話は終わる。……ってどーすんだよオイ(苦笑)。
 宗士郎:フッ、問題ない。
 ロック:……今のが、クライアントか。
 宗士郎:そうだ。
 ロック:ふぅん…………。
 一同:……。
 ロック:…………そうか(一同爆笑)。
 GM:なんなんだ今の気の持たせ方はーっ(笑)。
 音音:何か言うかと思って待ってたのにっ(笑)。
 ロック:いやあ、また何か良い事を言おうと思って言葉を捜したんだけど、考えてみたら何も言うことがなかった(笑)。
 宗士郎:俺まで待っちまったじゃねーか!(笑) さーて、ロックよ。先ほどの情報の中に幹蔵人の家の情報がなかったようだが……?
 ロック:ああ、そっちは、だな……えーと、俺の『部下』に調べさせている!
 一同:部下ぁ?(笑)
 宗士郎:おまえに部下なんていたのか? 初耳だな。
 ロック:(言い難そうに)……ああ。何か、スナフキンみたいな帽子の奴と、異常に攻撃的な女だった(笑)。
 GM:『だった』ってそりゃ部下の説明じゃねーだろ?(一同笑)
 音音:しかも名前も知らないし(笑)。
 ロック:ほ、ホントだっ?(笑)
 GM:どーする、『部下』の人。登場してしまうかね?
 音音・ジン:「ぴんぽーん♪」。
 ロック・宗士郎:「……どうぞ」。
 宗士郎:おや、これはこれは──
 ロック:(尊大に)おお、戻ったか。
 宗士郎:──あ?
 ロック:ん? さっき言った、私の『部下』だよ……。
 音音:(間髪入れず)「ガッ」と首を掴んで持ち上げる。【筋力】20で(一同笑)。
 ジン:片手で上がってしまうな、人間1人(笑)。
 ロック:あが、あぐはがががががっ?アゴがっ、アゴが割れるーっ! いぎっ、一般ぴーぽーの男が可哀相だろー? 俺ぁ間借りしているだけなんだーっ!(笑)
 宗士郎:(呆れたように)ロック……今後部下にするなら、分相応の者を選ぶんだな。
 音音:(あぐあぐひがひが喘ぐ物体から手を離し)ぱっ……それで、状況は?
 ロック:ぐしゃっ。ひいひい……。
 GM:今シナリオ初対面で何故こんなにツーカーなんですか君ら(苦笑)。
 宗士郎:こちらの状況はこんな感じだ──概ね私の、想像通りだったよ。
 GM:ホントカヨッ!?
 音音:流石ね……。こちらの情報は、こんな感じよ──ま、大体あんたの予想通りでしょ?
 宗士郎:なるほど。ま、見るまでもない……といったところか(一同大爆笑)。
 GM:ちゃんと見ろよ報告書ーッ! つーかそんなものいつの間に誰が書いたーッ?(笑)
 ジン:(気にせず)すると音音さん。彼が、緋桜さん……?
 宗士郎:そう! この私こそが──
 音音:──つるんつるんの脳みそを持つ男、緋桜宗士郎(一同爆笑)。
 GM:う、嬉しくねえ紹介……っ(笑)
 ジン:あのー、僕が言うのもなんですがシワを刻んだほうが宜しいかと……(笑)。
 宗士郎:何を言う。シワを刻んだら緑の妖精さんが転べなくなってしまう。
 ジン:なるほど……。あっ、挨拶が遅れました。どうも……ジン・ファンデルです。どうです、イマ風でしょう?
 宗士郎:フッ……『ナウい』とはあなたの為にある言葉です(笑)。
 ロック:『ナウい』が既に古い……(笑)。
 GM:や、だから逆に正解なんだろう。
 ロック:あー(笑)。

 混乱の場が沈静化の兆しを見せ、ここで改めて情報交換が行なわれる。
 判明したのは、ジンがアパートから持ってきた写真に写っていた少女と、宗士郎のクライアントが同一人物であること。その容姿と勇緋から聞き出した話から、その少女は岩神麻姫であると思われること。そして……。

 宗士郎:もう、大体見えてきたんじゃないの?
 ジン:繋がりましたね……。
 宗士郎:うむ。ならば、向かうべき所は1つしかない……(一同爆笑)。
 GM:ソウナノカッ!?
 ロック:何言ってるんだセブン。まだ肝心の2人の居場所が掴めていない……まさかおまえ、もう既にッ?(一同大爆笑) そういえば三ん下の姿を見ないが、既に奴を向かわせているということか!(笑)
 GM:居ないことにされたーッ?(笑)
 宗士郎:実に、エレメンタリーな問題だったよ。
 ジン:いや、素晴らしい。腕は確かなようですね。噂に違わぬ手並みだ……。
 宗士郎:フッ……行動迅速、秘密厳守、焼肉定食の緋桜探偵事務所だ。
 ロック:焼肉定食……じゅるじゅる(笑)。
 ジン:では解決の暁には、是非噂の焼肉定食を馳走になりたいものだ。
 GM:それは既に探偵事務所ではナイ(苦笑)。ったく例によって強引な展開だが……では聞かせてもらおうじゃないか?誰1人として肝心の2人の足取りを追跡してないこの状況でっ(一同笑)、いったい彼らがどこにいるのが分かったとゆーのか!
 宗士郎:それは………どこがイイ?(一同大爆笑)
 GM:俺に聞くなーッ!(笑) 追っかけねーならせめて考えれー!
 ロック:神皇樹でいいんじゃない? あ、樹の見える丘公園!(笑) 思い出の場所だから。
 ジン:ああ、熱い! 美しいな(笑)。
 GM:終点が約束の場所とは上出来じゃないか(苦笑)。……で? 前にも言ったけど公園は開けた場所だ。いくら思い出の場所とはいえ、追っ手から身を隠そうとする人間がそんなところに逃げ込むだろーか?
 ロック:いや! 追い詰められたからこそ2人は無意識のうちに新皇樹へと引き寄せられる!(笑)
 音音:追い詰められた人間は、より大きな存在にすがろうとする……?
 宗士郎:フッ……私の褐色の脳細胞がそう告げている(一同爆笑)。
 GM:まあいいだろう(苦笑)、了解。……ホントはちゃんと足取り追って範囲を狭めて欲しかったんだけどなー(ぼそり)。

 ──2人の居場所が分かった。
 これ以上時間をかけるわけにはいかない。何としても敵に先んじて2人を保護しなければ。それが、クライアントと交わした『約束』なのだから。

 宗士郎:よぉし、ならば一発景気付けといこう。点呼をとる……番号ーっ!
 ロック:ろぉく……(ぼそっ)。
 宗士郎:……おまえ、もうちょっと気合入れろ。やり直ーし!
 ロック:いやあ、俺の下に誰もいないと気分が……(一同爆笑)。
 宗士郎:やはり……三ん下がいないと締まらないな(笑)。

        ★  ダイブ & クライマックス  ★
 Dive&Climax 01  〜 ダイヤモンドは語らない 〜   
        GM:では順当に行くと次はダイブと相成るわけだが、紅い月が昇らない以上フォートレスは展開されません……いいのか?
 ロック:俺は用意してしまったが……いいんだ。立派な理由じゃないか!(一同笑)
 GM:そスか(苦笑)。つーわけで場面は移り変わって『樹の見える丘公園』。この公園かあるいは神皇樹に2人は逃げ込んでいると踏んでやってきたわけだが……そうだな、じゃあ公園に到着すると、先行していた三ん下が戻ってくる。
 宗士郎:おお、三ん下。首尾はどうだ。
 GM:「バッチリでさぁ。親分の読み通りでした!」(一同笑)。
 宗士郎:でかしたぞ三ん下。やはりおまえはよく訓練された三ん下だ!
 GM:「(寂しげに)……多分、今回だけッスよ」。
 ロック:……ナニを言ってるんだ?(一同爆笑)
 音音:(突然シリアスに)待て!……血の匂いがする。
 一同:えええええええっ!?(爆笑)
 GM:え。だ、誰の……?
 宗士郎・音音:ち、血を流しているのは、私だったァーッ?(笑)
 GM:バカたれっ(苦笑)。んー、しかしそう来た、か。それなら……よし、じゃあこうしよう。
 一同:?
 GM:辺りの不穏な空気を察して君達が足を止めると、近くの茂みから人影が飛び出してくる。
 宗士郎:皆、伏せろーっ!
 ロック:……ん? おまえらナニをやって──うわあああっ?(笑)
 GM:や、別に奇襲とかじゃなくて(笑)まあいいや、じゃあロックを下敷きにした人影の正体は、苦しげな表情をしたスーツ姿の女性だった。
 ロック:あ、あひあひっ……いやいやいやこんな事やってる場合じゃない(笑)。誰? 知ってる人? 例の依頼人?
 GM:正解。「……奇遇ですね。緋桜さん」。
 宗士郎:あなたは……フロイライン?何故、ここに。
 GM:「ごめんなさい、少々マズいことになりました」。
 宗士郎:マズいこと──と、言いますと?
 GM:えーとだな、さっき電話でそれっぽいこと言ってたけど、彼女はやっぱり追われていました。ところが、今日になって何故か自分に対しての追跡の手が緩んだなーと思ってたら、自分を追ってたはずの奴が幹夫妻の追跡に回ってたらしい。しかもあっさり捕らえられてしまったようで、彼女は慌てて今度は追う側に回ったということだ。
 音音:なるほどね。追うのは止めておびき寄せることにしたってわけ。
 ジン:待って下さい。確か彼らは襲われると爆発現象を起こすのでは?
 GM:その通り。それについては浅居女史も首を傾げてるようだけど、「代わりに俺が説明してやるよ」……と同じ茂みの方向から声が掛かる。現れたのは精悍な顔つきをしたサラリーマン風の男!
 ロック:おまえは……JJ!
 宗士郎:彼女を付け狙っていたのはやはりおまえだったか。
 GM:……今『やはり』とか言ったか?(一同笑)「おまえ……セブンか。ハッ『厄介事よろず請負人』として随分名を馳せてるようじゃねーか」。
 宗士郎:あれ? 探偵じゃなかったの、俺っ!(一同爆笑)
 GM:探偵業では稼げてないんだよ(笑)。「確かにおまえの読み通り、俺たちの狙いはその女が持つ『力』さ!」……訊かれてないのに喋ったけど、まあプレイヤーは察してたよな(一同笑)。「あの2人をどうやって掻っ攫ったか……おまえのことだもう察しがついてるんだろう?」(笑)。
 宗士郎:フッ、言うまでもないことだな…・・・だからワタシ言いません(一同爆笑)。
 ロック:おいっ、ちゃんと説明しろよー(笑)。
 GM:はい(苦笑)。まあつまり、2人を刺激しないように接触して、隙を見て眠らせたんだ。例えば……本来の追っ手であるセプターを追っ払って「大丈夫かっ? 俺はある人に頼まれて君たちを助けに来た者だっ!」とか言って信用させたり(笑)。
 ロック:あれ。ソレどっかで……?
 音音:アンタだ(苦笑)。
 GM:ジュエルの常套手段だったりしてな(笑)。「──よお。また会ったなシックス?」。
 ロック:(苦々しく)JJ……どうやらアンタに先を越されちまったようだな。
 GM:「なァに、おまえの動きが不審だったんで、ちょっとな」。
 音音:やっぱりヤブヘビだったッ!(笑)
 ロック:くぅっ!(笑)
 宗士郎:さぁてシックス、おまえはこれからどうする。再びJJの下につくか?……だがJJを倒せば、ハイジュエルはどうなる? (囁くように)おまえは成り上がりたいのだろう?(一同爆笑)
 ロック:そうか、JJを倒せば俺がナンバー3に……あ、でもJJはイイ奴だ(笑)。
 ジン:ロックさん、何を迷う必要があるんです。この調子でクイーン、キングとスパッと張り倒してしまえば──
 ロック:はっ! つまり俺がハイジュエルのナンバー1にっ?(笑)
 音音:(さらっと)そんな事はどうでもいい。
 ロック:うわぁ『そんな事』とか言われたーッ!(一同爆笑)
 GM:や、ロックを説得するという意味では重要だが?(苦笑)「……で。腹は決まったか、シックス?」。
 ロック:JJ、俺はとりあえず手柄を手にしてみようと思う──いやいや、こんなのじゃいけない(笑)。……JJ、アンタ。ジュエル仲間同士で最後に点呼をとったのはいつだったか、覚えているか?
 GM:ほおほお。「点呼……? ああ何を言い出すのかと思えば。そんな大昔の事ぁ忘れちまったな(苦笑)……この期に及んで思い出話でもしようってのか? いいぜ、どうせこれが『最期』だ。付き合ってやる」。
 宗士郎:最期……?
 ロック:俺は、つい最近──緋桜探偵事務所で久しぶりにやったよ。なかなかどうして……心が、震えるものだな。
 GM:「ははあ、そうかい。……そうだな、俺達が一堂に会して点呼をとるなんて真似をしなくなってから随分と経つ──丁度我等が神を見限った頃からか?」。
 ロック:ああ。その時はまだ皆がいた……。
 GM:「そう。あの頃俺達は、与えられたものとはいえ統一された『意志』を持ち、1つの目的の為に動いていた……だがその目的を捨て、それぞれが別の意志を持つことが『自分の意志を持つこと』だと勘違いし、結局俺達はバラバラになった──」。
 宗士郎:おまえ達の敗北は、その時から決定していたのだ……ハイジュエル。
 GM:「そうかも、しれねえな……」と言って、JJは「ぐぶっ!」とおびただしい量の血を吐いて倒れこむ!
 ジン:うおおおーっ? どうしたJJっ!GM:見ると、背中には深々と爪で抉られたような痕がある。
 音音:これは……もう助からない(笑)
 GM:そして懐から血にまみれたカード──『ダイヤのJ』が零れ落ちるのだが地面に落ちた瞬間「ぱきゃっ!」と卵が割れるような音を立ててひびが入る。
 ロック:なにぃぃぃぃっ?
 GM:「あなたまさか、私を逃がす時に……」と、この深手には浅居女史も驚いている様子。
 ロック:さっきの血の匂いはアンタだったのかっ!
 GM:「(苦しげに)へっ、下っ端のくせに何かやらかそうとしているおまえを見て……俺もつい、欲をかいちまった。ソイツを誘き出すまでは上手くいったんだがなァ……。ったく、おとなしく『生き残り』に専念してりゃあ良かったものを……これが俺の運命、って事か? 情けねェ……」。
 ロック:(強く首を振って)そんな事はないッ!
 宗士郎:そうだ。おまえは、座して運命を受け入れるを良しとせず、運命に抗うことを選んだのだ。……おまえはよく戦った。
 GM:「へっ、格下2人に言われてもなァ……(苦笑)」。え〜と、いよいよ以って虫の息だけど、どうする?
 ロック:くそぉ、駆け寄ってJJを抱き起こす!──点呼だ、JJッ! スリー、セブンッ、頼むっ!
 宗士郎:心得た。(厳かに)……ではこれより点呼をとる! 番号──っ!GM:「3っ!!」。
 ロック:6っ!!
 宗士郎:7っ!!
 GM:「じゅう、いち……っ!! ありがとよ、ロック────」。
 ロック:くうっ、涙が……バカみたいだ俺だけ(苦笑)。

 いえ実は私も涙ぐんでいましたので同類です(苦笑)。
 序章で音音にノされる予定だった JJの思わぬ活躍でした。

 GM:ではそう言ってJJは、どこにそんな力が残っていたのかロックを突き飛ばす! 直後、「どすどすっ!」とワイヤー付きの鉤爪のようなものがJJの胸を貫き──彼は絶命する。
 ロック:じ、JJ────ッ!!
 GM:そして鉤爪が引っ込んだ先の茂みから──千客万来だなここ(苦笑)えー、高級スーツに身を包んだエリート商社マンっぽい男が、両手を血に濡らしたまま現れる。「(場にそぐわぬ軽やかな口調で)……茶番はそこまでにしてもらいましょうか?」。
 ジン:おおおっ? 格が違うぞ、この男っ(笑)。
 ロック:ジュエル・キング………貴様、JJをっ!──って飛び掛ろうとするけど、体がすくんで動けない(笑)。
 GM:「おや、随分と賑やかだと思いましたが、そこにいるのは──セブン、スリー、……ああ、君はシックス。まだ生きていたのですか」。なにげにロックだけ思い出したかのよーに付け加える(笑)。
 音音:ああ、やっぱり一番格下なようだ(一同笑)。
 GM:「(面倒くさそうに)1人かたづけたと思ったら……仕事が増えてしまいましたね。ついでに君も、その男のように裏切り者として始末してあげましょうか? シックス」。
 ロック:裏切り者は……おまえたちのほうだ、キング!
 GM:「ふむ? なるほど、一理ありますね。……確かに我らはあの日、我らが神を裏切った! しかしそれは、我らの『総意』だったはずではありませんか?」。
 ロック:……そうだ。俺達は『神』の意志に従うだけの生き方を否定した……だが、『仲間』との繋がりまで否定したつもりはないっ!
 GM:「君までその男と同じことを言う……そうか、彼の心変わりは君が原因だったのか。フッ、クククククッ……そして君は、そこの愚民共に毒された」。
 ロック:(キングの変貌にたじろいで)あ、ああ。そう……なのかな?(笑)
 GM:「エース亡き後、ジュエルを統べるのはこの私───この我だ……!だのに『王』たる我に何故従わぬっ?愚民風情が! この我に逆らうかッ!」……てな感じで、キングはヒートアップしていくそれに伴って大気が震え、見た目コソ変わらないがはち切れんばかりの力がキングの体内に膨れ上がっていくのを感じる!
 一同:くうっ?
 音音:このプレッシャーはっ(笑)。
 宗士郎:なるほど、これがキング……クイーンとは違うということか!
 GM:ん(笑)。そして臨界を越えたキングの身体は爆炎と共に燃え上がり鉄の如き質感を持った巨大な恐竜へと変貌する。えーと、頭頂高9メートル全長13メートル──だったかな? 王は王でも『暴君』ティラノサウルス・レックスだ!
 音音:DIOォォォォォッ?(一同爆笑)
 宗士郎:あれは……噛まれると厄介だな(笑)。
 GM:違ーう(苦笑)。……やー、今朝『ゾイドジェネシス』最終回だったんだけど誰も観てないよなー。モデルはあのへんのバイオゾイドなんだけどー(ぼそっ)。ま、いいや。えっとな、普通の恐竜と違って、表面が鉄のような外骨格状のもので覆われていて、その隙間から覗く筋肉は溶岩のように熱く滾っているように見える。外骨格の部分も所々赤熱していて、細い枝なんて触れただけで燃え上がってる。
 ジン:うおはは、熱い、熱そう!(笑)
 GM:変身し切って落ち着いたのか、キングは「ふしゅーッ」と鼻で一息ついて話し始める。「サア、ゲーム開始と行こウか」。
 音音:ゲーム? ここで下らない遊びに興じている暇はない。……さっさと道を開けなさい。
 GM:「イや、オ前たちはこのゲームに参加せザるを得なイ。何故なら既に今この時も、ゲームは進行してイるのだからな」。
 音音:……どういうこと?
 GM:「(口元を歪めて)ここにイるのガ……何故、我ダけダと思ウ?」。
 宗士郎:むっ、伏兵か?
 ロック:エース──じゃないから、あとは……っ! クイーンが戻って来ているというのか、既にっ?
 音音:地獄の底から舞い戻ってきたっ?(笑)
 GM:ここに、じゃないけどね。「オ前たちに手ひドくやられてからとイウもの、アの女は失った力を取り戻すのに必死デな……。我ほドにもなれバ神の『欠片』ゴとき目もくれなイガ、 アの端女ならそれを取り込むのに躊躇イはしなイダろう。今ゴろは……」と、茂みの向こう──遙か神王樹のほうへ首をめぐらす。
 宗士郎:! 幹夫妻が?
 GM:そう。それに思い至ったのか 「しまったっ!」と叫んで浅居女史がキングの脇をすり抜けて行こうとするのを、「オオっと、そウ易々とは行かせは──」と、キングが両手の鉤爪を「はしゅばしゅっ」と伸ばして捕らえようとするんだが……?
 宗士郎:そうはさせない……三ん下、来いっ!……割り込んで彼女のガードに回ろう。
 音音:ワタシも走る──ブーストダッシュ! 「がいんがいぃん!」っと切り払う!──行きなさい。ここはワタシ達に任せて……!
 GM:では浅居女史は一瞬だけ逡巡するが「──はいっ、お願いします!」と力強く神皇樹の方へ駆け出す。
 ジン:……これで仕切り直しだな?
 GM:「ちィっ、ドこまデも我の邪魔をするか!」。
 音音:邪魔? 邪魔なのはあなたのほうよ。
 GM:「ならバ愚民ドもよ、貴様らなド我の足元にも及バぬとイウこと……思イ知らせてくれる!」。
 ロック:待て、キング。ゲームと言ったが……賭けるチップは何だ。命か?
 GM:「命なドデはなイ。我ら『カードポゼッショナー』にとって、命よりも重要な意味を持つもの──」。
 宗士郎:それは、俺達の『誇り』!
 GM:「そして『存在』そのものダッ!」

 ここに、互いの命運をかけた戦いの火蓋が切って落とされた!
 ──のですが。当戦闘において出目の宣言がなかったりそもそも今手元にキャラクターシートがなかったりと、不鮮明な部分が多々ありまして……。
 『キャラデータの詳細がない』など、リプレイとしては甚だ片手落ちではありますが、雰囲気だけでも感じ取って頂ければ幸いです(苦笑)。

 Round 01  〜 鉄壁の布ジン 〜 

                               最初の【行動値】ジャッジ。まず大量にプラーナを注ぎ込んだロックがトップ。
 次いでジン、キング、音音、宗士郎の順で、宗士郎を除く全員が2回行動。
 宗士郎はその際に《フェイバー・オブ・ジ・アース》で強化した《フォトン・ウェポン》の武器──スリーのカードを核とした超巨大な光の剣(特例としてメインGM許可済み)を準備します。

 ロックはまず超対抗タイミングで《現の夢》を使い魔道力を10点上昇──
 なんと夢使いレベルが10だという申告があったので、消費MPは最低値の1。
 そして通常タイミングで《ライフ・ブースト》を詠唱し、HPを22点上昇させます。

 ロック:これが進化した俺の姿『シックス・レクイエム』! 聴け、キングよ……俺達が奏でるレクイエムを!
 ジン:では、次に私のアルカナを見せてやろう。

 ラース=フェリア産でありながら異世界生まれの特徴を持つというジンは、ナイトウィザードと陰陽師の技能を持つ戦闘特化型メイジプリーストで破魔弓装備と良いトコ取り。
 2レベルの《多重発動》を用い、1行動で3つの魔法を発動させます。
 まず《フェイバー・オブ・ジ・アース》で強化した《ロック・ハンマー》を《魔力拡大》して同一スクエア内の仲間達の攻撃力を上げさらに自らに《硬きことは鋼の如く》、《ヴァルバリア》を用いて磐石の防御を築きました。

 ジン:……俺のターンは終了だ(笑)。
 GM:終わってない! 1行動フェイズが終了しただけだっ!(苦笑)

 キングの行動。恐竜というより怪獣的ですが、魔法ダメージ扱いのプラズマ火球を発射(笑)。
 目標はジン、ロック、宗士郎のいるスクエア。
 ……恐らく全員入っているんだろうけど、オリハルコンの短剣の特殊能力により音音に魔法ダメージは無効となるので除外。
 【命中】ジャッジの結果は 42。それぞれ「避けない」「避けられない」「【受け】る!」と宣言。
 宗士郎は(恐らく三ん下とアイアスシールドによる《八重垣》で)【受け】成功。ロールの結果は8と出てダメージ98点でしたが……。

 ジン:《堰き止める左手》発動! このスクエア内に及ぼされる【攻撃力】ジャッジの達成値を……57引き下げる!(一同爆笑)
 GM:なんだそりゃああああっ?

 先に魔法で底上げした【抗魔力】を基準にしているのでとんでもない数値です。
 その結果、ジンと宗士郎はノーダメージ。ロックも宗士郎から飛んだ《レイ・シールド》の助けもあって、プラーナを用いることなく僅か11点のダメージ。

 ロック:異世界の戦士……あのジュエル・キングの攻撃を、ここまで防ぐことができるとは……!
 ジン:まあこの私がいる限り、防御は万全だ!
 GM:やはり序盤で能力を測れなかったのが痛いな……。

 続いて音音の行動。移動して攻撃する予定でしたが、宗士郎の援護魔法を待ってからということでカウントを落として、潔く2回行動を捨てました。
 行動順は巡り、再度ロックの番。

 ロック:では戦闘態勢に入った俺はヘルメットを被り、月衣からグレネードランチャーを「がちゃこんっ」と取り出してだな(笑)。……このグレネードランチャー1発1発には、俺の『意志』の欠片を埋め込んであるッ! 行け、シックスランチャーズ・ナンバーワン!!

 ロックは《現実死》を宣言。HPを10点消費し、グレネードのダメージに50を上乗せ、100からスタート。
 【命中】ジャッジにはプラーナ12点解放し、出目は4で合計34。
 キングの回避は図体に見合ったものでしかなかったので当然回避には失敗。グレネードのダメージはダイス目を足して108点。

 ロック:ふふ、煩悩の数だけ痛みを覚えるがいい!
 GM:ん……(コロコロ)。じゃ、ちこっと通った。
 ロック:ちこっとかっ?
 GM:いやまあ、総HPに対して、感覚的にな?(苦笑)

 何しろ大火力のバケモノPCがいるので防御はそこそこですがHPは高めに設定してあります。
 貫通ダメージ3ケタを最低3回は耐えられるよう設計したので1割程度削れたところで「ちこっと」なのです。
 お次はお待たせ宗士郎の行動順。21点分のソーサルクリスタルを消費し、便利強化魔法《フェイバー・オブ・ジ・アース》を乗せた《ブレッシング》を発動。スクエア内にいる全員の【回避】を13点上昇させます。
 準備の整ったところで、ついに音音が出撃。
 自分の《エア・ダンス》とジンの《シュン・レイ》で移動力を伸ばし、4スクエアの距離を一気に詰めます。
 そして音音は《シュアショット》を宣言し、両手に持った超兵器で2回攻撃! 1撃目はクリティカル──《サトリ》発動で絶対命中。2撃目は出目がふるわなかったものの、元が高いので当然キングは回避失敗。
 1撃目のダメージ、オリハルコンの短剣は1回クリティカルして71点。続く2撃目エクスカリバーの一閃はファンブルして45点。

 宗士郎:どうした……威勢がいいのは口だけか?(笑)
 ロック:7と3、そして6を足して16だ……13しかないおまえに勝ち目はない(笑)。
 GM:「ちィっ! 愚民風情ガ、調子に乗るデなイわァァァッ!」。

 調子に乗るPCを前にして、ここでキングはいきなり守りに入ります。……威勢がいいのは、本当に口だけ。
 キングは音音を無視して1スクエア前進し、そこで六角錘の形状をした半透明の光の壁──有り体に言って「ぱりーん」と割れそうなバリアを自分の周囲に張り巡らせ、行動を終了します。
 第1ラウンドの最後に行動するのはジン。
 バリアを警戒してか攻撃をはせず、再び《多重発動》で魔法を3連発。
 まず、「2度と来ない」と言っていた《妖精の三騎士》を詠唱し無事発動(笑)。
 続いて《リ・セルオン》でHPを削ってMPを回復し、《アキュエイル》で削ったHPを回復。順調に鉄壁の永久機関の道を独走状態に入ってご満悦の様子。
 ……まさか、ガチガチの支援系キャラを用意してくるとは思わなかったGMには為す術はありませんでした。

 Round 02  〜 ラウンド終了間際のコウボウ 〜   

                          第2ラウンドのイニシアティブ。ロックはここで自らの【行動値】を0にしてジャッジ。
 そしてキングに対し、サプリメント『ロンギヌス』記載の新魔法《ラビリンス・スイッチ》を、惜しげもなくプラーナを消費して発動。
 流石のキングも抵抗に失敗し、ロックと行動順が入れ替わってしまい……結果、ロックの行動カウントは25、キングは4。
 行動順は音音、ジン、ロック、宗士郎、最後に一回行動のキングとなりました。

 音音:危険に身を晒すのはワタシだけで十分だ……! 隣接して《シュアショット》で2回攻撃!

 キングは回避を宣言せず2撃とも命中。ダメージ反射型のバリアの可能性も考慮してダメージにプラーナは乗せず64点と63点。
 ダメージが反射されることはありませんでしたが、しかしバリアはびくともしません。
 続くジンも《握られた心臓》を2発飛ばしますが、こちらも阻まれます。

 ジン:絶対命中魔法でもダメか……何なんだ?
 GM:まあ、過去のリプレイにおける絶対命中魔法の演出(庇った人間をすり抜けて命中とか)から鑑みるにどう扱ったものか迷ったけどねー。ここは『条件』を満たせなかったということで攻撃は阻まれたとさせてもらおう。
 音音:ダメージ肩代わり型のバリアか……?
 宗士郎:いや、GMは防御ロールもダメージの記録もしてない。
 GM:うっく? 変なとこ見てるなあ(苦笑)。
 ジン:では3つ目の魔法は《前を横切る黒猫》に《フェイバー・オブ・ジ・アース》を使って(コロコロ)……発動成功! このラウンド中、キングの回避はマイナス8される!
 GM:回避も抵抗も出来ないタイプの魔法か。ではそれは効いた。……ま、もともと低い上にさっきから「避けない」ってゆーてるけどね。
 ジン:(意外そうに)あれ、そうなの?
 音音:だからあなたは人の話しを聞きなさいっ!(苦笑)
 ロック:しかしなるほど、今のは効くのか……。じゃあ【知力】判定で見破って……いや俺さっきからプラーナをガンガン使ってるから他の人にお願いしたいっ!(笑) そう、俺にはこれしかない!──再び全力で《現実死》! 行けっ! ナンバー2!(コロコロ)……クリティカル!

 ロック渾身のグレネードが炸裂し、叩きだされたダメージはダイス目が揮わないものの104点。
 ロックの雄叫びが響く中、爆発の衝撃波と共にバリアが音を立てて砕け散ります。当然効果音は「ぱりーん」です(笑)。
 これにより謎だったバリアの特性が『一定値以下のダメージ無効』であることも判明し、胸のつかえが下がり士気上がる一同。
 しかし──

 GM:んじゃこのカウントで再びバリアを展開する(さらり)。
 ロック:(渋く決めて)これで俺の役目は果たせた────にゃにぃーッ!?(一同爆笑)
 宗士郎:フッ……厄介ではあるが、対抗策はある──行動カウントを落とす!
 音音:なるほど……わかった───ワタシもカウントをここまで落とす!
 ジン:ほ? どういうこっちゃ。じゃあ俺も……。

 通常行動を必要とせず発動するバリアを見て、対抗、或いは超対抗タイミングの特殊能力であると見抜いた宗士郎は、2回行動を捨ててロックと同じ行動カウントまで落とします。
 作戦──同一カウントで一気呵成に攻撃を仕掛けようという意図を察し次々とそれに倣う一同。
 ……そしてそれでもキングの行動カウントより早いという屈辱的事実(苦笑)。
 一斉攻撃が開始された!

 宗士郎:ヤツの攻撃が来る前に一気に片をつける!
 一同:応ッ!
 ロック:……見えるかキング? これが『仲間と力を合わせる』ということだ! おまえには聞こえないか? JJの、最期の点呼がッ!
 GM:「ふはァアっ! 聞こエんなァ?」ロック:ならばもう一度聞かせてやる! 俺達の点呼の声を────まずは『6』ッ!

 回避しない上に魔法で回避できない身体になったキングに、ロックの攻撃は易々と命中。そして3発目の《現実死》グレネードは【攻撃力】ジャッジで執念のクリティカル、ダメージは119点!
 彼の打撃は再度、キングザウルスV世(@帰って来たウルトラマン)のバリアを打ち砕きます。
 しかし当然このカウントで対抗タイミングの行動を消費していないキングは、次の攻撃に備え再びバリアを展開! このバリアを続くジンの攻撃が──

 ジン:なるほど! ではこの障壁破壊は、次のターンの私に任せてもらおう!

 ジンの攻撃が──あれ?

 音音:(すっごい意外そーに)……次のターンん?
 ジン:(すっごい自信満々に)そう!
 宗士郎:このカウントでやんないとダメなのっ! 次のカウントに移ったらまた使えるようになるんだから!(笑)それに次のターンになったら付与魔法の効果も切れちまうだろっ?
 ジン:(しれっと)え、そうなのか。うーん、実は次のターンでなら、バリアを突破しつつ200点のダメージを与えられる自信があるんだが、それには準備が必要なんだ。
 音音:えー。
 宗士郎:むう。彼が攻撃しないのならこのラウンドで仕留める事は難しそうだな……。
 ロック:ちょっと待ってっ! じゃあ俺の攻撃は事実上空振りかあっ?(爆笑)
 GM:「グァはははアっ! 勇み足ダったな、ジュエル・シックス……?」。
 ロック:だっ、ダマレー!(一同笑)

 連携の乱れを笑うキング。……しかしキングはこの後、思わぬ窮地に立たされます。
 このラウンドでの決着を諦めた残りの3人は、行動を終了しカウント0になると援護魔法や特殊能力が使えなくなる為、次のキングの攻撃に備え全員カウントを3まで落としました。
 確かにキングの行動を許す事さえ厭わなければ、対抗タイミングでの行動が出来ないキングのバリアを一度破るだけで済むので効率的です。
 カウント4。ようやく巡ってきた行動順に、何故かキングはここで自身の行動カウントを2に落としました。ソレを見て他の3人も行動値を1に落とし込みます。

 GM:やっぱ普通そう来るよなあ……(苦笑)。くそったれ、何で俺はカウント5の時バリアを張っちまったんだ───
 一同:?
 GM:──カウント2の対抗タイミングでバリア解除。カウントを1に落とす。
 宗士郎:(ゆらぁりと)キング……さては貴様、『バリアを展開した状態では一切の攻撃が出来ない』なッ?
 GM:うっはっはっはっはっはっはっ……ちっくしょォもうバレたあッ!(一同爆笑)

 宗士郎の予想通り、GMが隠したかったのはまさにその『お約束』。
 カウント1における戦闘行動はGM側を先手で処理することに我々はしています。
 なので、攻撃を行なうには自らバリアを解除するしかありません。
 ……遅かれ早かれ露呈するとは思っていましたが、先にバリアを破壊されてから攻撃するはずのプランが、まさかPCの連携『ミス』によって砕かれるとは思いませんでした(苦笑)。

 ロック:攻撃と防御が同時に出来ないのか。ふっ、愚かな……超対抗タイミングで解除できるようにしておけば良かったものを(笑)。
 GM:「オのれ……我を侮辱するかッ!」。王たるもの、そんな美しくない真似ができるかあっ!(笑)
 音音:ってゆーかGMの趣味でしょ(笑)。
 宗士郎:Good! 貴様のその『誇り』は認めてやろう。だがこれで分かったろう? 単独で完全なる『王』になど、なれぬ事が……。
 GM:「ダまれっ! 故に我はアの女の力を手に入れて完全なる王に……『神』の如き存在となる!」。
 宗士郎:ならばその傲慢、この私が打ち砕いてくれる……!
 GM:「そんな口は、我の攻撃を凌イデから叩くのダなッ!」──って、こんな台詞吐いてる時点で負けフラグ立っちまってるよな(一同爆笑)。ええい構うものか! 対抗タイミングで特殊能力を使う! 防御は捨てたッ!
 一同:おおっ!
 ジン:殺る気だ(笑)。
 音音:殺られる気だ(爆笑)。
 GM:うるさいっ!(笑) いつか必ずカウント1での攻防になると思ったからな。《肉を切らせて…》同様に敵が同時攻撃の時限定っ、《オフェンシブモード》! 大きく息を吸い込んだ後超巨大な火球を発射する! 「食らェッ、《ギガンティックディザスター》!!」攻撃範囲はその3人がいるスクエア中心に無駄に2スクエア!(笑)命中は(コロコロ)……ってうわ──お!?
 宗士郎:ファンブルっ(一同笑)。
 GM:痛恨のファンブル……命中達成値25(苦笑)。えーと、逆上したキングの攻撃は、予備動作が大きく『避けて下さい』と言わんばかりだった(一同爆笑)。

 援護魔法により回避能力が13点上昇しているのでPC達は、これを難なく回避する。

 GM:「まダ終わりデはなイ!」。背中の外骨格が2本現れる! 「逃ガさんのデアるッ《ヒドゥンクローアーム》!」音音に2回攻撃っ。捕まえたらバリバリ齧ってやるぞー! (コロコロ×2)……命中は42と43!
 音音:その攻撃に《エンチャント・フレイム》。魔法ダメージにして無効化する!(笑)
 GM:ふっ、《ノー・リーズ──しまったッ! 対抗タイミング使っちまってる……いやしかしダメージは無くとも《捕縛》するぞ? ふ〜、そうだよ、ちゃんと音音対策しといたんだよ(苦笑)。
 音音:ちぇ、じゃ魔法使わないで避ける。プラーナ3点ずつ解放、1発目回避、2発目クリティカルで絶対回避(笑)。
 GM:よ〜け〜ら〜れ〜たぁぁぁ……あふ(ぱたり)。
 宗士郎:ここまでのようだな……では、殺るか?
 音音:殺りますか♪(笑)
 ジン:よしっ、完璧なコンビネーションだッ!(笑)
 GM:(むくっ)ドコガダーッ?

 俄然勢い付く宗士郎達3人──と、ちょっと寂しそうなロック(苦笑)。
 そして、今度こそ一斉攻撃が開始されたっ!

 宗士郎:まずは、ロックの後を引き継いで俺から行かせてもらう──行くぞ三ん下! おまえの番号は幾つだッ?
 ロック:「うおおっ、『3』ッ!」。
 宗士郎:そして、『7』ッ!
 音音:──掛けて『21』ッ!(笑)
 宗士郎・音音:ブラック・ジャックッ!(爆笑)
 GM:「馬鹿なっ! 我の知るブラック・ジャックは確か足し算──ウオアアアアッ?」(笑)。
 音音:ではさっき使わなかった《エンチャント・フレイム》を三ん下に(コロコロ)……ファンブルだけど、ここは幸福の宝石使って発動成功に!
 宗士郎:いいのか? ……よし! 燃えろ三ん下あああああッ!!──まずは《連月斬・Act1》! 命中は(コロコロ)……低っ? 25。
 GM:「ふァーっはっはっはっ……!」。7からスタート(一同爆笑)。だから回避下げなくても良かったんだってば(コロコロ)……クリティカらない、回避失敗。
 宗士郎:プラーナ6点使用、とぁっ(コロコロ)……80点の魔法ダメージ!
 GM:(コロコロ)……ぐぁっは、ファンブル?
 宗士郎:Yes! 手応え有り……ここで《収奪》!

 宗士郎は《連月斬・Act2》《連月斬・Act3》のコンボを華麗に決め、その全てに《収奪》を宣言。プラーナも用いたのでキングにかなりの痛手を与えます。

 GM:では、徐々に精度と鋭さを増す斬撃によって刻まれた3つの傷から大量の血が吹き出すが、それが宗士郎の身体を濡らすより先に《収奪》によって熱を奪われ、塵となって風に散らされてゆく……。
 宗士郎:これが──《連月斬・Act3ーFreeze!!》。
 GM:「グふ、ゥ……ダガ、まダ我は終わってオらん──」。
 ジン:(真摯に)いえ、あなたはここで終わりです……恐竜キングに手を触れ……《命の引き換え》! 私は即死します。
 一同:ぅおおおっ?
 GM:ではジンは、焼けつくキングの身体に無造作に手を触れ、そのまま眩い光に包まれる! 「き、貴様ッ!己ガ命を軽々しく捨て──」。
 ジン:そして私の懐で『賢者の石』が砕け、私はその特殊能力でHPが1の状態で即座に復活する。さあ、HPを134点、失ってくれ(笑)。
 GM:「──ッてそれの何処ガ命の引き換エダっぐばらばがらぼおッ!」(一同爆笑)。
 ジン:いや、本当は《テラ・ヴァース》をしてからコレをしたかったんだよ。そうすれば死んで自爆して即復活!
 音音:そして至近距離のワタシには魔法ダメージが通らない、と(笑)。
 ジン:……あ、そうか。《テラ・ヴァース》味方も巻き込んじゃうんだ(苦笑)
 一同:ぅおおおいっ!
 ジン:(気にせず)あとダメージ通ったから《魂狩り》が発動だ。(コロコロ)……さらに7点食らっといてくれ。ぜひゅー、ぜひゅー……(笑)。
 GM:ごぁっふ?
 音音:ホントに『神』だったコイツっ!(笑)

 ここで、多忙な男──ジンのプレイヤーが私用の為撤退する。
 お疲れ様でしたー(苦笑)。

 ロック:え、まだ生きてる?(笑)
 GM:「グググ……オのれェェ、認めんゾォォォッ! そんな美しくなイ戦イ方を選ブ『神』になド、屈してなるものかァァァァッ!」(一同笑)。
 音音:ならば、『神』をも屠る刃で、お逝きなさい……《リミット──ブレイク》! この一瞬だけ戦闘力5倍(笑)
 GM:「なっ……貴様、その輝きはァァアアアアッ?」。傍若無人なキングが初めて、怯えたような声を上げる!
 宗士郎:──『ジョーカー』……!(ぼそっ)
 音音:命中、えー(コロコロ)……120 くらい。と、えー(コロコロ)……140 くらい(笑)。
 GM:……避けない。避けられない、そんな光の疾さ(苦笑)。
 音音:一応、手加減はしないってことで《シュアショット》。ダメージは(コロコロ×2)……オリハルコンが273点。エクスカリバーが、282──
 GM:──あ、いい。分かった(苦笑)宗士郎:計算するまでもなく?(笑)
 ロック:これが……まさか、ジョーカーの力……?
 GM:えーと……音音の残像だけを残し、光芒がキングの巨体をすり抜けたかと思うと、一瞬遅れて「どどんッ!」とあまり穏やかではない音がして(笑)、キングに光の十字が刻まれる。
 音音:これが、ワタシの切り札だ……
 GM:──っという音音の呟きの直後鋼鉄のTレックスは内側から燃え上がるように傷口から炎を吹き出し、徐々に縮んでゆく。しおしおしお──
 音音:残されたのは4分割された死体。
 ロック:グロッ?(笑)
 GM:そして4分割されてなお喋りだすキング。
 ロック:キモっ!(笑)
 GM:「見事……だ。この『ゲーム』は、貴様らの勝利である……」。
 宗士郎:フッ、分かり切った結果だ。
 GM:「だがセブン、貴様も知るまい……もう1つの『ゲーム』も、終わりを告げたことを……」。
 ロック:もう1つの……?
 宗士郎:終わった、とはどういうことだ?
 GM:えーと、キングは既に何も見えておらず、何も聞こえていないようで独り意味不明な事を喋り続ける(苦笑)。
 宗士郎:ちっ……ジョーカーの一撃がキングの『存在』を希薄にしている?(笑)
 音音:あ。《リミットブレイク》したから気絶するんだった。さっきの呟きの後「がくんっ」と方膝をつく。で、戦闘は終了してるからさっさと【精神力】ジャッジやって(コロコロ)……成功。身体が倒れる前に剣をついて立ち直る(笑)。──負け犬は、さっさと塵に還りなさい……!
 GM:ほほう……うん、確かに力が消えていってるようだよ。「我、だけだったのだ……あれは気付いておらぬ。『花』に気を取られ過ぎ、己が『懐』が不埒者に狙われている事など……」
 ロック:え、誰のこと……? セプター?
 GM:「貴様らも例外ではない。ゆめゆめ気をつけること、だ……」。そう言ってキングの肉体はぐずぐずと崩れ去っていく。残ったのは色褪せたカード───『ダイヤのキング』。
 ロック:いったい何を伝えようとしたんだ、キングは……? 今回予告のだよね? 何となく意味は分かるんだけど……。
 宗士郎:わから……しかし今は考える時ではない。急いで、浅居女史の後を追うぞ!
 ロック:ん? 俺も行こうとするかな……いや。行けよ……俺は2人を弔ってやりたいんだ。
 GM:えーと、プレイヤー不在のジン・ファンデルも重症状態でぶっ倒れてることにしときます(苦笑)。
 宗士郎:そうか……好きにするといい。
 音音:彼の事も、お願いね。
 ロック:……ああ。

 新皇樹へと向かう2人の後姿を見送った後、ロックは見る影も無くなった公園の一角へ向き直る。
 彼が虚ろに見つめるのは薄汚れながらも鈍く輝く2枚のカード……かつての同胞だった者達の亡骸。
 「見返してやりたかった奴がいっぺんに居なくなっちまった……これじゃ『あの女』の力を手に入れたってしょうがねぇ。だけど……」。
 ロックは誰に問うわけでもなく、呟きを漏らす。或いはそれは弱音だったのかもしれない。
 「俺はこれから、どうするべきなんだ……?」
 カードは月の光を照り返すのみ。答えを返してはくれない。今はもう────ただ、静かに輝くのみ。

 Dive&Climax 02   〜 奪われたもの、護り通したもの 〜   

     GM:さて、こちらは前回の決戦の地、神皇樹。浅居あずさおよび幹夫妻の安否が気にかかるところですが、とりあえず戦いの音は聞こえてくるので、少なくとも浅居女史は無事だと思われる。
 音音:とし、もう一度クイーンを地獄の底に叩き落してやる(笑)。
 宗士郎:私のクライアントに手を出したのだ……確実に引導を渡してくれる。
 GM:うわ、殺る気満々かよ(苦笑)。では神皇樹の袂……見晴らしの良いところまで出てきた君達は、光の繭に包まれて眠っている幹夫妻と、それを庇うように手傷を負いながらも必死に攻撃を引きつけるあずさと──なにやらおかしな力にその身を包んであずさを圧倒するクイーンの姿を確認する!
 宗士郎:圧倒しているのか、クイーンが!
 ロック:それは……『ジュエル・キラー・クイーン』(笑)。
 宗士郎:奴もまた、カードの先の力に目覚めたのか?(笑)
 GM:目覚めてません。目覚めてないけど……前回倒した時より遙かにパワーアップしている。
 音音:弱ってるんじゃなかったの?
 GM:全然。ぴんぴんツヤツヤしてる。「アッハハハハハハハハハハハッ!落ちなよっ!」(笑)。
 宗士郎:ハイパー化してる?(笑) ちっ、まずいな……援護に入るぞ。三ん下……ここが最後の勝負どころだ!
 GM:「お、親分……アイツ、なんかおかしいッスよ? 変な光に──」。
 宗士郎:惑わされるな! いいか、俺達は……カードだッ!(一同笑) いいか三ん下っ、ここで怯える三ん下は駄目な三ん下だ! 怯えない三ん下はよく訓練された三ん下だ!
 GM:「い、いや、だって……だっておかしいッスよぉ? あの光──あの中にある赤い色からはさっきのキングと同じ力を感じるッス! ほら、あっちの青い光はJJの……なんでクイーンから他の2人の力も感じるんッスかっ?(泣)」
 宗士郎:何ッ?
 音音:まさか……!
 宗士郎:……どういうことか分かるように説明してもらおうか──イヤ私の中では既に理解はしているがっ?
 GM:「──凡人にも理解できるように説明してやれ、ってこと?」。
 宗士郎:フッ……ま、皆、私の脳細胞について来られないのでな(一同爆笑)。
 GM:「(めっちゃ疑わしそうに)ふぅ〜ん……ま、いいよ。今はワタシ機嫌が良いから。ワタシが『ゲーム』に勝ち残ったから、ワタシの中にJJとキングの力が流れ込んできているのさ」。
 音音:……もうちょっと仲良くしてあげたら? 他の数字とも(苦笑)。
 GM:「バカ言わないで頂戴。高純度の力だけを束ねたからこその輝きなんだよ?」。──えっとね、新品の乾電池の中に古しの乾電池混ぜて使うと、電気抵抗が掛かるばっかりで却って電力が弱まるみたいな(笑)。
 ロック:むむっ? じゃあ俺も公園のほうから異変を感じとって神皇樹に向かおう──2人のカードから消えた力が……神皇樹の方で膨れ上がっている? これは……!
 宗士郎:誰が、何のためにそんなゲームを?
 GM:「アンタたちに負けた後にね、ワタシが持ちかけたのさ。残り人数が少なくなってきたことだし、もしハイジュエルが最後の1人になっても目的成就の為に戦えるよう、先に脱落した2人の力をその生き残りに譲り渡そう、ってね」。
 音音:ボロボロにされて帰って来て提案したな、そりゃあ説得力あるでしょう(笑)。
 GM:遺産相続の遺言のよーでもある(苦笑)。で、自信家のキングはふたつ返事、JJも最初は気が乗らなかったみたいだけど押し負けて契約成立──『ゲーム』開始となったらしい。あとは元気な2人が君らとぶつかって自滅すれば良し、そうでなくても君らが倒れるならそれはそれで良し──
 ロック:クイーンが弱っているうちにまず真っ先に殺っちゃえば良かったのに(笑)。
 GM:仮にも同胞同士でそれはどうよ(苦笑)。ま、そうでなくても契約の時に決めたんだろ。『直接手を下すのは反則』って。そうしないとキングがあまりにも有利だし(苦笑)。
 宗士郎:その計画を思いついたのは……俺達に負けた時か?
 GM:「ふふっ……いいえ?(ニヤリ)」──あれ? 待って、なんか『火サスの犯人の告白シーン』みたいじゃじゃいか?(一同爆笑)
 音音:変な探偵に追い詰められる犯人っ!(笑)
 GM:で一部始終を話し終わる頃に警察が到着?(苦笑) ま、それは置いといて。えー、クイーンはかなり前から『力の独占』を狙ってました。どのくらい前かってーと、『神』を裏切った頃からずっと。まあ計画を実行に移したのは最近だけど。とにかく下っ端のカード達に本人の力量以上の使命を与えて数減らしをしてきた。……俺様一番なキングはあまり気にしなかったし、JJはクイーンよりも下位だからあまり文句を言えなかったらしい(苦笑)。で、ジュエルをどんどん窮地に追い込んでいった、と。
 ロック:じゃ、その話を聞いてしまった俺は──クイィィィィンっ! 貴っ様ああああっ! って叫びながら登場するぞっ! ……貴様が全てを仕組んだのかっ? JJやキングをそそのかしたのも……フォーやファイブが死んだのも! ──いかん、なんかそんな事言ったらホントに大切な仲間だったような気がしてきた(苦笑)……ふぉおー、ふぁいぶーっ!
 音音:自分も死にかけた事は恨んでないっぽい。なんかロックのくせにカッコ良い(笑)。
 GM:ふふふ、なんかこっちも調子に乗って苛めたくなってくるナ(笑)。「ワタシが全部? ハッ、冗談じゃないよ。下っ端が死んだのは自分の弱さのせいじゃないか。JJやキングにしたってそうさ。ワタシはきっかけを作っただけ……!」。
 ロック:くっ、くぅっそおおおっ!
 宗士郎:……ならば、貴様が再び俺達に敗れるのも、貴様自身の弱さゆえ──ということだな?
 GM:「敵うと、思ってんのかい? キングと戦って疲弊したアンタ達に! 今のワタシは以前のワタシの3倍以上の力を持っているんだよっ?」。
 音音:たった3倍……?(くすっ)
 GM:ホントに笑い飛ばせるか? 例えばさっきのキングの数値が全て3倍だぞ?
 音音:……ケツまくってにげるのよ!(笑)
 宗士郎:今、おまえに敵う必要はない。俺の仕事は、そこの2人を無事に連れ帰ることだ。
 GM:「分をわきまえてるじゃないか……構いやしないよ? その女は置いていってもらうけどねぇ?」。
 宗士郎:それはできない。(営業ボイスで)彼女は私の、クライアントだからな……。
 ロック:交渉決裂、か……っ!
 GM:「全く……カードは、最も偉大なる『意志』の元に統一されるべきだって、何故理解できないんだい?」。
 宗士郎:笑止! 作られた『カード』とはいえ、個々それぞれに『意志』があるのだ。それを1つの『意志』が思い通りにしようなど、傲慢も甚だしい……!
 GM:「そんな事はないさ? ワタシにはそれだけの力がある──アンタ達を圧倒するだけの『力』がねぇ!」。そう言って腕をひと振り横薙ぎすると物凄い突風が巻き起こって君達全員が吹っ飛ばされる! どぱーん!
 一同:うわああああっ!?
 GM:「アッハハハハハハハハハッ!どうしたんだい? ちょっと強めに腕を振っただけだっていうのに、このザマかいッ!」。
 音音:くっ、強い……?
 宗士郎:だが──
 ロック:しかし! ……と言って立ち上がっていいですかっ?(笑)
 GM:どうぞ(笑)。このシーンは演出で進行していますから数値的なダメージは発生しない。代わりに勝てん敵には絶対勝てんらしいが〜。
 ロック:よし──しかし、そんな圧倒的な力の前でさえ、立ち上がることの出来る『意志』を! 俺達は持っている……それは、俺達1人1人が違う意志を持ち、それぞれの中に大切なものを作り上げ、それを他人と共有するからこそ得られる力なんだーっ! ──って何言ってるんだろう俺、意味分かんなくなってきた(笑)。
 GM:いや、大丈夫だ!
 宗士郎:そう。暴力に屈せず、恐怖と戦う強き『意志』……人それを『尊厳』という!
 音音:そしてそれは『勇気』とも言い換えられる。
 GM:「下らん……ならば貴様らの言う個々の『意志』の力とやらで、このワタシに傷を負わせてみろ。──今から1分間、ワタシはいっさい手を出さず、この場から動くこともしないよ?」と、両手を広げて君らを招く。
 音音:後悔、するなよ……? 《ブーストダッシュ》! 一気に間合いを詰めて2つの剣を一閃させる! 「ぎぎィいんッ!」。
 GM:ではクイーンは正面に向けていた顔をゆっくりと音音のほうへ向けて「疾い一撃だ……。一瞬見失っちまったけど……アンタ、まさかそれで斬ってるつもりかい?」。と言って剣の刃を指で撫でる。
 音音:うわ、腹立つ!(笑)
 ロック:ではその背後からグレネードランチャーを撃つ! ナンバー4!5!(どがぁぁぁんっ)
 音音:2発も? 待って、ワタシいるんだけど?(苦笑)
 ロック:だーいじょうぶ単体攻撃だし《現実死》も使って魔法ダメージだから(笑)。
 GM:ではロックの放ったグレネードは、狙いあやまたずクイーンを直撃! 盛大な火柱が立ち上がり、もうもうと煙が立ち込める……。
 ロック:ふーぅっ、ふーぅっ、……どうだっ!
 宗士郎:そして同時に私も《フォトン・ウェポン》! 三ん下をブン投げる!──イけぇっ三ん下あああああっ!大・車・りぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃんッ!
 音音:ちょっと待ってワタシそこにいるの見えてる?
 宗士郎:だぁーいじょーぶ三ん下も魔法ダメージだからっ!(一同爆笑) そして私自身は《漆黒の翼》を広げて飛行、保護対象2人をかっさらう! ……出来る?
 GM:あー、そうだね。2人一緒で謎の光の繭に包まれてる状態だから、2人分の重さだけど?
 宗士郎:あー、構わん。むしろ眠っててくれて好都合……この光、何?
 GM:よく分からないけど、爆発現象と同様の原理で、意識を失いながらも防御障壁を張っていると思われる。宗士郎:ええっ! おおお俺のプラーナがっ、もうほぼスッカラカンなんですけどっ(笑)。
 GM:や、そっちの心配はない(苦笑)力の供給源はね、どうやら神皇樹らしい。神皇樹のそばに来たことで、彼らは樹の守りを得た。
 宗士郎:じゃあ神皇樹のそばに居たほうが安全……?
 GM:そうとも言えない。だって攻撃には強いけど、こーやってかっさらわれたらそれまでだもの(苦笑)。
 宗士郎:そうか。ではやはりどこか安全な場所──ってどこだ?(一同笑)そうだクライアントも救出しなくては……!
 GM:あずさは先ほど吹き飛ばされた時に足を痛めたのか、まだ向こう側にいるね。……では緋桜くんがそーやって振り返った時、ちょーど煙が風に流され、クイーンの姿があらわになる!
 ロック:やったか……っ?
 GM:無傷だ! 光の剣はクイーンの表面で止められたまま静止している。その光の刀身をクイーンは無造作に掴み──「ばりぃぃんっ!」っと握りつぶす!
 宗士郎・ロック:あおおっ、三ん下ぁぁぁぁぁぁぁぁッ?(笑)
 GM:核となっていたスリーのカードは、ひらひらぽてりと地面に落ちる。無事だよ?(苦笑) そしてもう片方の手で音音の首根っこを掴み上げ、無造作に──
 音音:ぱりーんと割られるっ?(爆笑)
 GM:割れない(苦笑)。無造作に「ぽーい」と投げ捨てられる。
 宗士郎:……しまった、時間はっ?
 GM:「1分──くらい経ったかねぇ?さて、次はこちらから行かせてもらおうか……ちょっと撫でただけでズタズタ、なんてのは無しにしておくれよッ」と、適当に腕を振り回すだけだが、それだけで破壊の嵐が巻き起こる! 
 ロック:ぐわーっ!
 GM:「全く歯ごたえが無いネェ……つまらないからもう終わりにしちまおうか?」。
 宗士郎:くっ、せめて……クライアントたちだけでもっ!
 GM:「さあァ、これが最期だッ!」。
 音音:ちぃぃぃぃっ?
 GM「(涼やかに)──あなたの、ね」……幼女の如き声がどこからか聞こえたかと思うと、「どぶるしゅッ!」とクイーンの胸から突如、少女のような細腕が生える。
 ロック:後ろに誰かいる? 誰………あっ!
 音音:おまえは……!
 GM:その腕は背後からクイーンの胸を貫いているにも関わらず、一滴の血にも濡れていない。手には、心臓のように脈打つ血まみれのカード──『ダイヤのクイーン』が握られている! クイーンはそれを信じられないモノを見つけたかのように不思議そうに見つめ、ぱくぱくと口だけを動かしている。
 宗士郎:(クイーン)「かッ……く、あ……っ?(ぱくぱく)」。
 GM:そんな感じ(笑)。カードはやがて徐々に金色の光の粒に変わり、風に溶けて消えてゆく……。
 宗士郎:クイーンが、一撃で……?
 GM:そしてクイーンの肉体はそのまま、一言も発しないまま、絶望の表情を最期にうかべ、砂となって「どざらぁっ」と地面に崩れる。
 ロック:……悪い夢でも。見ているのか……?
 音音:いえ、現実よ。そうでしょう……里長!
 GM:いいリアクションありがとう(笑)……そう、クイーンが崩れ去ったその背後。幼い外見とは裏腹に老成した雰囲気と威厳をもつ、黒髪の少女が立っていた。
 ロック:クラブ──『セプター』のッ!?
 GM:「皆さん、ご苦労様でした……。これで、集めるべき『力』のうち、3つは揃いました。お礼を申します」。と言って深々と頭を垂れる。
 音音:(冷ややかに)……そう。それで? 次はいったい、何を欲しがるつもり?
 GM:「ええ。あとは……」。と言って薄く笑みを浮かべ、さっき吹っ飛ばされてから動けないでいる浅居あずさに流し目を送る。
 ロック:ぬおっ? それなら……(あずさ)「チィイッ!」とか言って逃げ出す! 「この力を渡すわけにはー!」(笑)。
 GM:……あれ? うん、まあ逃げるんだけどキャラ違くない?(苦笑) えーっと、里長はふわりと浮いて滑るように「すぅーっ」とあずさに片手を伸ばして近づいてゆく。
 ロック:怖い! コワイヨー!(笑)
 音音:あずさ……アゼル?
 ロック:(あずさ)「キャー!」(笑)。
 音音:……なんか助ける気の失せる悲鳴だけど(苦笑)、それを──阻止する! ……やらせないっ! ……連撃を仕掛けて近づけさせないようにする!
 GM:「音音……!」っと里長も応戦するが、近接戦闘では君に分があるようだ。徐々に押し始めるが──
 宗士郎:ん? 里長はカードの力を取り込んだんじゃないのか?
 GM:確かにさっき、高純度の『ジュエル』のパワーを奪ったけど、彼女自身が取り込んだワケではないようだ。そして音音の攻撃がクリーンヒットするかと思われた瞬間──「ドゴンッ!」と強烈な一撃を横から食らって、たまらず音音は吹っ飛ばされる!
 音音:ぎゃうんっ! ……ぎゃ、ぎゃうん?(笑)
 宗士郎:こいつ『七霧の里』の……!音音:なんだ、このFFのモンスターみたいな奴はっ!(笑)
 GM:あんたの里の出身者だ(苦笑)えー、いつも里長に付き従っている戦士の1人──上半身が異様に発達した、身の丈十尺は越えようという異貌の男だ。……で、里長はそちらを一瞥し、問題なしと判断したのか再び「すぅーっ」とあずさを捕まえに行くのだが……。
 ロック:俺は呆然と見ているしかない──いや、待て。最後のグレネードランチャーを「がちゃこんっ!」と構える!
 GM:「……あなたとわたしが敵対する理由はないと思われますが?」。
 ロック:あの女を助ける義理はない……が、このままあんたの好きにさせちゃならねえ──そんな気がする。と言って、銃口を向ける! ……う、この後どうしよう?(笑)
 GM:「そうですか……ですが、折角助かった命を、無駄に散らすことはありますまい」。里長はロックのほうへ首をめぐらせ、瞳を正面から見つめる。
 ロック:むっ、いかん! か、身体がッッ?(一同笑)
 GM:まだ何も言ってないんだけど察してくれてありがとう(笑)。うん、まあイメージとしては──瞳を見つめられた瞬間に体中に長い髪の毛が絡みつくような感覚がして、急いで引き金を引こうと思ったら引き金も髪の毛で固定されてて撃てなかった、みたいな幻覚が君を襲う。
 ロック:う、ぐ、ぐるじい〜!
 GM:んー、そこまで催眠を強くはしてない。まあ、「もっと〜」とか抜かしたら一気に「きゅっ♪と締め上げてやらんでもないけど(笑)。
 ロック:ヒィッ!(笑)
 宗士郎:はたから見ると突然ロックが悶えだしたように見えるわけか。じゃあ放っておこう(笑)。代わりに今度は私が彼女を庇う。何故なら、フロイラインは! ……えっと、なんだ───インストラクター、じゃなくて?(笑)
 GM:……クライアント(苦笑)。
 宗士郎:ああそうそう! それが言いたかった!(一同爆笑)
 GM:「……あなたを避けて通るのは難しいようですね──」。
 宗士郎:ここは通さん……!
 GM:「では押し通らせて頂きます──力尽くで」。里長の身体がその場でくるりと翻り、袖から無数の矢が飛び出して襲い掛かる!
 宗士郎:むう、避ければ後ろのフロイラインに当たる──ならばアイアスシールド!
 GM:では「ぎゃりぎゃりぎゃりッ!」と耳障りな音を立ててシールドが矢を弾く。しかしその圧倒的な質量に圧され、シールドが吹き飛ばされる!
 宗士郎:うおあッ? ……ならばっ!三ん下っ、来い! 光の剣で──
 GM:さっき刀身を無理やり砕かれたのでスリーのカードは地面に落ち、一時的に力を失っている(笑)。
 宗士郎:うおおおおっ、三ん下ああああっ?(一同笑) ならば、この身に代えても……!
 音音:ちぃっ、緋桜ーっ!
 GM:おっ(笑)。ではそんなピンチの彼の頭上から声が降る。「そこまでだッ!」。
 音音:《ヒーロー参上》か……!
 宗士郎:!……この声は──!
 GM:緊急事態につき今回は口上も何もなし!(笑) 完全武装の深紅の鎧姿が「ズズゥンッ!」と着地し、宗士郎の前で両手を広げ、全身で受け止める!
 一同:おおっ!(笑)
 音音:全く、バカ勇者が……来るのが遅いんだよ(苦笑)。
 GM:「遅くなってすまない……」。矢を受けきったアサルトスーツに傷はないが、関節の隙間からは赤い雫が垂れ、地面を濡らしている。
 音音:お、オイル漏れ?(笑)
 ロック:おおっ、改造手術は成功したのかーっ!(一同爆笑)
 GM:血だバカモノっ! かってに改造すなっ!(笑) プラーナ枯渇してたから傷の直りが遅いんだ。「これ以上、誰も傷つけさせない……! やっと見つけた麻姫を、おまえ達になど渡さないっ!」。と里長に指を突きつける!
 ロック:(里長)「わたしは……あなたのお姉さんを傷つけるつもりはありません」。と言う(笑)。「用があるのは、彼女の中に潜む『力』の持ち主──」
 GM:「断るッ! 何故なら、『その人』の帰りを待っている人がいるからだっ! 俺は彼女と約束した……『その人』を探す手助けをすると!」。
 ロック:「そうですか……」。
 GM:じゃあここで、重症状態から自力回復したジンが「ぜひゅーぜひゅー」、言いながらこの場に到着する。里長は一同を見回して、「役者が揃った──と言うのでしょうか、この場合は?(微笑)……結構です。当初の目的は達しました。これ以上ここで、いたずらに時間を消費するのはわたしの本意ではありません。今日のところは引き上げましょう」。
 宗士郎:今は見逃す……ということか。
 GM:「ええ。わたしたちにとって必要となる、その時まで」。
 宗士郎:……その時とは、おまえ達と雌雄を決する日だ!
 音音:そして、あなたとの最後の別れの日。
 GM:「或いは……わたし達の願いが成就する日」。
 ロック:そう上手く事が運ぶかな?
 GM:「……そうですね。仮にわたし達が目的を成就出来たとして、それがわたし達の幸せに繋がるかどうかなど、誰も保証は出来はしない───そう、あの『神』でさえも」。
 ロック:ならば何故……! いや、愚問だな。
 宗士郎:フッ、おまえの言い分はわかった──だが1つ、覚えておくがいい。今日がおまえの、『最後』の始まりだということを……!
 GM:「覚えておきましょう。……では皆さん、いつか来たる『運命の日』まで──ごきげんよう」と言って、七霧の里の戦士ともども、風景に溶けるように姿を消す……。
 宗士郎:何とか──
 ロック:──助かった、のか?
 GM:えー、緊張の糸が切れてどっと疲れが押し寄せる君達の耳に、「どがしゃあ」と重そーな鉄の塊が倒れるような音が聞こえた(笑)。
 音音:バカ勇者……無理をするから(苦笑)。

 戦いは終わった。失われたものは決して小さくはない。それでも、今は護るべきものを護れたことに胸を張ろう。
 戦いはまだ終わらない。次に来るそれは、より苛烈なものとなるだろう。だがせめて今はひと時の休息を……。

              ★  エンディング  ★
 Ending 01  〜 人と人を繋ぐもの 〜      
           GM:ではエンディング。今回の騒動が一応の終結を見てから数日経ったある日のってことで。まずは勇緋はあの日、集中治療室から抜け出して無茶した後、その日のうちにまた集中治療室へととんぼ返り(笑)。幹夫妻は怪我も無く、今回の騒動の事とかちょっとだけ記憶処置を施され、既に普通の生活に戻っている。怪我をしていた浅居女史もまあプラーナ根こそぎされた勇緋と違ってすぐ退院した。
宗士郎:では落ち着いたところで、お話を伺わせて頂こうかな?
 GM:了解。ではいつもの、緋桜探偵事務所。退院した浅居女史──麻姫ってゆーか中身はアゼル? が、今回の依頼の謝金を持って訪れている。
 宗士郎:なるほど……大体のところは理解いたしました。今回は、あなたも災難でしたね。
 GM:「ん〜、まあね?」。と、浅居女史だった頃と雰囲気が随分違ってる。
つーか、だからね? まだ何も説明してないよ私(笑)。「何から話したらいい?」。
 宗士郎:この世界で、何をするのが目的だったのか。
 GM:「『だったのか』ね。んーある意味、セプターの連中と同じような事をするため、かな。目的は全然違うんだけど」。──まあ彼女が言うには、幾万にも分かれて散らばった元の神様達の欠片を集めて、叶うことがなかった『想い』を、彼らが交わした『約束』通り実現させてあげようとしていたらしい。
 宗士郎:約束……確か、『神皇樹の下で──』という?
 GM:うん。でもその願いを成就させようとすると、今のこの世界で奇跡的に出会えた2人の培った、彼らの『想い』を踏みにじることになるって事にいきなり気付かされたのだ。あの幹夫妻の嫁さん──幹琴美さんに。
 宗士郎:最初から、彼女が『欠片』だと知って近づいたのだな?
 GM:「そう。たまたま彼女と知り合いで且つこの世界の能力者だった、このアサヒに……ちょっと強引だったけど協力してもらってね」──さっさと用事だけ済ませれば良かったんだろうけど、まあ、向いてなかったとゆーことで。
 宗士郎:なるほど……ではあなたはこれからどうされるおつもりで?
 GM:「今はまだ、あの2人を守り続ける。そしてこの町からカードの脅威が去ったら、同じように散らばった『欠片』達が、小さくても1つ1つのその『想い』を遂げられるよう、陰ながら手助けしてみようと思ってる──まだ当分先かなぁ? それにこの世界だけじゃないわけだし、いつまでもアサヒの身体借りてるわけにもいかないし」……あ、リネットの事何も触れてない(笑)。
 音音:なら、ワタシも力を貸そう。とりあえず今、この町にいる間……あの夫婦を守る。あなたは、今度は少し自分の為の事をしたほうがいい。会わなければならない人がいるだろう?
 GM:「……!」。──えっとアゼルはその発言に少なからず驚いているようだ。「ありがと、助かる。それにしても驚いた……あなたからそんな提案をされるなんて。以前ラース=フェリアであった時は、目の前の戦いにしか興味なかったように見えたけど」。
 ロック:以前会った時、っていうアゼルのその時の姿はちょっとアレだったけどね(笑)。
 音音:それもまた、ロンギヌスとしての使命だから。
 GM:「……そっか、牙持たぬ者を護る数多のウィザード──を護る楯で在ろう、っていうのが、あなたの『意志』?」。
 音音:ワタシは、剣にも楯にもなる。 しかし──ワタシに『意志』などない。
 GM:「……そうかな? 私の為に2人を『護る』って言ってくれたあなたに『意志』がない──なんて、到底理解思えないんだけど?」
 音音:……。
 GM:「『自分の為の事をしたほうがいい』のは、あなたも一緒かもね」。
 宗士郎:ふむ。さて、フロイライン。これにて、一応は一件落着となり、あなたも今まで通りこの町留まると言う。そこで話があるのだが──
 GM:「え、なあに? 報酬のこと?」。宗士郎:いや──しばらくあなたの身辺警護をしたい……里長が口にしていた『時』とやらが来る前に、奴らを壊滅できればベストだが……生憎それが出来る保証はない。
 音音:それに……あなたが危機に晒されると、心を痛める人間がいる。
 GM:「リネットのこと? ズルいなぁ。『意志』がない、なんて言っておきながらそーゆー弱い点は突いてくるんだから」。
 宗士郎:では、フロイライン……あなたの返答は?
 GM:「そうね……なら、私からも1つ提案」。
 宗士郎:ほぉ、う……提案とは、何でしょう、か。フロイライン?
 GM:「その『フロイライン』っての。あなたが口にする分には似合うとけど、ほら、私はそんなガラじゃないし……」。
 宗士郎:で、では『セニョリ〜タ』とでもお呼びしましょうか、レディ?(一同笑)
 GM:(ばんっ、と机を叩いて)「『アゼル』って呼びなさい!」(笑)。
 宗士郎:アゼル……分かった。では改めて────しばらく宜しく頼む、アゼル。
 GM:「こちらこそよろしく、宗士郎」。

 依頼は果たされ、また新たな契約が結ばれた。だがこの場にいる者達は、結ばれたのがそれだけではないことを知っていた。
 戦いが終わるとき、この新たな契約も終わりの時を迎える──しかし今ここにある『絆』は、決して消えはしないだろう。

 Ending 02  〜 再び会うまでの遠い約束 〜  

            GM:では宗士郎と音音のが終わったから、続いてロック!
 ロック:んー。ずっと緋桜探偵事務所にはいたってことにしていいかな? 黙って話を聞きながら、考え事をしてたってことで。
 GM:了解。事務所の来客用ソファーで、さっきの会話はされていて、ロックは邪魔にならないように事務所のデスク側にいたとゆーことで。プレイヤー不在だけど、ジンも登場させよう。ジンがロックに、グラスに注いだ──
 音音:ロックのジンを(笑)。
 GM:昼間っから酒かっ!(笑)
 ロック:(こん、とグラスを置いて)──アゼルと言ったな。あんたは、元々の神の想いを成就させる事よりも、あの夫婦の想いを護る事を優先させた……。確かに、そうなんだろうなぁ……俺は頭が悪いからよく分からないけど、他人の『意志』を尊重できないって事は──とても哀しい事なんだと、知ったよ。
 GM:「……ハイジュエル達のこと?」
 ロック:ああ。……だがな、俺はセプター達のやろうとしている事も理解できる。もし神の欠片を放置し、僅かずつでも想いを成就され続けることが、俺達──カードを束縛することに繋がるのなら、俺はきっとこれからも……足掻き続けるだろうぜ。
 GM:「かつて仕えていた神の魂がある限り、カードを縛る神の『意志』からは解放されない、ってこと? あなた達を束縛するのは、果たして神の『本意』だったのかな? 本意ではないなら強制力なんてきっとないのでしょうし、現に私の力の源も元々カードだったけど、私は縛られてない。エースだから……とかじゃなくて、実はあなた達が知らないだけで、他に手段があるのかもしれない」。
 ロック:……俺は、こないだのセプターの女を見て、『ああ、こいつも俺と同じく足掻いているんだな』と思った。足掻く手段として選んだ道が、あれなんだと。
 GM:「皮肉なものね、恐らく最初に認識できた、個人の中に芽生えた意志が『反逆の意志』だったなんて。……ねえ、やっぱりホントに強制力のある束縛なら、反逆なんて起こさないようになってるんじゃないかな?」。
 ロック:さあな……とにかく俺も、俺自身のやり方で足掻いてみることにする。それにケリがつくまで、おまえらと共に歩めそうもない。
 宗士郎:……そうか。
 ロック:じゃあな。次に会うのは戦場か──或いは意外に、道端でバッタリとかな?
 音音:道端でバッタリ──行き倒れているのを発見(ぼそっ)。
 ロック:……あんな生活には戻りたくないものだな(笑)。
 一同:もう経験済みかっ?(爆笑)
 ロック:いやいや、綺麗に終わろう(笑)。じゃあ、僅かばかりの荷物を背負って玄関へ向かう。……じゃあな、セブン。世話になったな。
 宗士郎:ロック……番号!
 GM:「3ッ!!」。
 ロック:6ッ!!
 宗士郎:7ッ!! ……あばよ。
 ロック:ふっ……あばよ!

 ほんの数日。
 かつて袂を別った仲間と道を同じくした。
 そして今また、互いに別々の道へと一歩を踏み出す。
 いつか再び道が交わり、共に歩める時を約束して。

 しかし、その時が訪れるよりも先に……『運命の時』は近づいていた。


パックス・ミパミパーナ
〜連理の枝〜 中編
            …fin…