■あらすじ■ |
――お前のことは、忘れない。 それが約束だったよな。 秋というには早すぎて、夏というには遅すぎる中途半端な季節。 俺は、世界がたくさんの犠牲によって保たれていることを知った。 それは、誰かの平穏な日常だった。 それは、名も知らない人間の存在そのものだった。 それは、俺の大切な物だった。 ――最後に。最後だから。 そう、これで最後にしよう。 日常という平穏な毎日を過ごすのは。 俺は本当のことを知ってしまったから。 退屈で平凡な生活を送っていた俺は、ある日突然呼び出され、何者かに狙われている事を告げられる。 それは行方不明者が出るという不穏な空気が町を包む中、俺を退屈な日常から足を踏み外させた。 俺がいつも望んでいた非日常は、最も望まない形で舞い込んだのだ。 雨の中俺の目の前に現れた、人の『存在』を喰らう化け物。 それを従え自らの欲望を叶えようとする『超越者(ヒュペリオン)』と呼ばれる人間。 『超越者(ヒュペリオン)』に『存在』を喰われた人間は、この世界に居なかった事になり、誰の記憶にも残らない。 そいつらから、無力な人間を守るために戦っているという、『覚醒者(アウェイカー)』と名乗る非常識な超能力者達。 それぞれが、この世界に存在する為の意味を探し、求め、散り、生きる。 関東の片隅の小さな町の小さな公立高校で、今『覚醒者(アウェイカー)』と『超越者(ヒュペリオン)』の『存在』を賭けた戦いが始まる。 あいつは言った、俺たちは運命を背負うのだと。 あいつは言った、俺たちはこの世界の全ての罪を背負うのだと。 なら、俺は。 ――お前の事は、俺が背負う。 この世界の誰もが忘れても、お前のことは忘れない。 それが、この世界に存(い)在る理由。 これは、子供ではなく、それでも大人になりきれない。 そんな俺たちの、小さな町の物語。 |